惑星のさみだれ 5巻

「おねえちゃん ごめん」
「さみ ごめん」

惑星のさみだれ 5 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 5 (ヤングキングコミックス)

 <ネタバレ含みますので注意>


 なんか4巻から結構空いてたような気が。とある町内で繰り広げられる、地球存亡を賭けた闘いを描いた不思議な雰囲気のアクション物。どこか肩の力が抜けつつもアツい所ではしっかりアツい、実に良い少年漫画です。

 今巻のメインは姫こと朝比奈さみだれとその家族事情、および精霊アニマの覚醒の二本柱。また、獣の騎士団と泥人形の闘いも激化してきてアクション的にも盛り上がってまいりました。

 で、今回なんと言っても良かったのがさみだれと姉、及びその母親との和解のシーン。自分は家族に愛されていないと思うさみだれ、逆にさみだれに愛されていないと思う家族。ちょっとしたすれ違いでお互いの心の中に生まれ育った氷塊が解けたとき、それは大粒の涙になって溢れ出る。いや、もーなんというベタな場面ですか!有史以来何千回も繰り返されてきたであろうこーんなベタ話に引っ掛かると思ったら大正解ですオメデトウ。不覚にも少し泣いてしまいましたわ。冒頭にも抜き出した、さみだれと姉が「ごめん」と言い合う場面が非常に良い。前にもちょっと書きましたが、本当に良い漫画家ってのは名言っぽい賢しげな台詞を生み出す人の事ではなくて、なんでもない日常的な言葉にしっかり重みを与えられる人の事だと思います。


 しかしさみだれの「世界を永遠に自分の物にしたい。そのために地球を砕きたい」という野望(1巻参照)が、家族への思慕の情がもつれて出力されたものだとすれば、今後の話はまた趣が違ってくるような気がします。なんとなくですが、家族とある程度の和解を果たした(=家族を再獲得した)今のさみだれが「地球を壊す!」とは言わないような気がするんですよねー。
 

 進行的には中盤越えた当たりかと思われますので、10巻以内では終わりそうなこちらの物語。さて次はどんな展開を見せてくれるのでしょうか。次巻も楽しみです。

  • 余談

 それにしても今巻の雨宮夕日は普段の十割増しくらいでカッコ良かった。1巻のひねくれヅラの夕日からは想像も出来ない、すげえイイ男になってるんだもの。なーにが「ぼくがついてる」ですか!そりゃー姫も赤面しますわ!そりゃー俺もキュンとしますわ!(オイ)

 

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