最近面白いマンガつづき

 というわけで前回の続き。


 既刊15巻。

 実際の歴史を基にしたヴァイキング戦記物。当然いろいろアレンジは加えられていると思いますが、幸いにも歴史詳しくないんでこのお話に没入できます。この漫画の面白い所は所謂捨てキャラがいない事。よくネット上では「主人公が影薄い」とか「トルフィン?誰それ」とか揶揄されてますが、他のキャラの背景とか行動理念とかを描き込んでるとどーしてもこうなっちゃう。前の「プラネテス」でもそうだったし、幸村先生の癖ですね、コレ。

 でもその執拗なまでの描き込みが、荒波の中に生きる人物達の魅力を最大限に引き出させ、物語に奥行きを与えているのも、また事実。8巻あたりのアシェラッドのくだりはもう歴史ロマンそのもの。超燃えます。

 あと、ヴァイキング叙事詩でありながら、壮大な世界観とかスケールの大きい戦略とか、そういうドラマに持って行かない所が面白い。あくまで人間を丹念に描き、その視点で世界を見せる事で、彼らが生きている世界がどれだけ厳しく、未開拓である状態かを間接的にわからせるつくりになっています。

 ここ数年のオススメ物件。

 ⇒過去記事


惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)

 全10巻。

 日常ラブコメ+ボーイミーツガール+サイキックアクション。とはいえこの漫画は、男女が出会って厳しい戦いの中でやがて二人は…、なんてステレオタイプな面白さではありません。最初はお気軽な日常コメディっぽいのですが、途中から人死にも出たりして段々シリアスになってきます。ただしバトルアクションだけの物語にならないように日常場面をはさみ、人物をちゃんと掘り下げながら物語を進めていくので、どんどん登場人物に愛着が湧き、彼らを「応援したい」物語になってくるのが素晴らしい。

 メインの話は地球を滅ぼそうとする悪い魔法使いと、主人公たち12人の「獣の騎士団」+姫の戦いですが、良い意味で予想を裏切る展開が多く、また人物描写がブレないのも魅力的です。正確に言うと主人公もヒロインである姫も物語の中で変わっていくのですが、その成長がきちんとわかりやすく描かれているから、ちゃんと読者に「ブレ」でなく「成長」として伝わります。言葉で書くと簡単ですが、これがなかなか難しい。仄めかし過ぎればわかりづらく、語りすぎれば野暮になる。

 この漫画を読んでからこっち、すっかり水上先生のファンなのですが、物語の展開の仕方もさることながら、この辺のバランスが取れる所がこの人の凄い所じゃないかと思います。

 ちなみに過去記事は以下です。ネタバレが怖けりゃ先ずは最初の奴だけにしといて、あとはその巻を読んだ時に読むことをオススメします。

「惑星のさみだれ」 1〜3巻感想

「惑星のさみだれ」 5巻感想

「惑星のさみだれ」 6巻感想

「惑星のさみだれ」 7巻感想

「惑星のさみだれ」 8巻感想

「惑星のさみだれ」 9巻感想

「惑星のさみだれ」 10巻プレ感想

「惑星のさみだれ」 10巻感想

「惑星のさみだれ」のタイトルの意味


巨娘(1) (アフタヌーンKC)

巨娘(1) (アフタヌーンKC)

 既刊2巻。

 身長も態度もスケールも何もかもデカい女子=巨娘が、常識や小ズルい悪党やチャラい男子や親の七光り女子なんかを痛快にぶっ飛ばしてくれるコメディ漫画。木村先生、「神戸在住」の時はあんなにしんみりした漫画描いてたのに、この漫画では完全にハジけてしまってます。

 とにかく読んでて笑えるし、何より立ちすぎてるキャラ達が実に魅力的です。

 ⇒過去記事


それでは今日はここまで。