ショートソング 1・2巻
というわけで本日めでたく積読の山から開放された数冊のうち2冊がこちら。
<以下ネタバレ含むので読んでない人は注意>
- 作者: 枡野浩一,小手川ゆあ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/09/04
- メディア: コミック
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- 作者: 枡野浩一,小手川ゆあ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/02/04
- メディア: コミック
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正直、「31文字の青春とSEX」という1巻オビの惹句に見事に引っ掛かって買った。小手川ゆあ先生の作品は「ライン」と「アンネ・フリークス」しか読んだ事無かったけど、彼女の絵って割とキレイキレイした方なので、濡れ場を描けるのかなあって興味が沸いたので。
と思ったらセックスシーンと呼べる物はほとんど無いという現実。何この中二脳を弄ぶ巧妙な罠。おっぱいはどこだ!!いやいや俺は良いよ別に。たださー、「それ」を期待して純粋に不純な動機で買った中学生諸君のキモチはどうなるのよ。彼らのリビドーは何処へ向かえばいいのよ。
まー読後には見せたいのがエロシーンじゃないって事がわかるから別に良いんですけどねー。だいたいオビの文章考えるのは作者じゃなくて編集さんだしねー(スネ気味)。
さて、お話のメインストーリーは、短歌を始めたばかりの美少年(童貞)と歌壇でそれなりに名の売れているイケメン眼鏡(モテモテやりまくり)の2人の若者と、同じく短歌をやっている女性の三角関係を主軸に、短歌の世界に生きる若者達を描いた青春恋愛物。ストーリーの節々で、登場人物達が自分の心情を短歌で表現していくのが新鮮でした。
ただ全体のストーリーとしては今ひとつ腑に落ちないというか、一言で言うと違和感があるお話でした。どうにもストーリー全体が悪い意味でふわふわしている。熱くも無ければ寒くも無く、切なくも無く幸せでもなく、エロいかといえばそうでもない(しつこい)。
端的に言うとイケメン眼鏡の方の「伊賀」がモテモテすぎて気持ち悪いし、童貞美少年の「国友」もいい子過ぎてつまらない。毎話のラストに心情を短歌に乗せるのがこの漫画のスタイルなんですが、二人ともとりあえず短歌を詠んだ時点で自己完結しちゃってる様に見えるのがマイナスなのかも知れません。
あー、それにあとがきで「このお話は吉祥寺を舞台にしてて、登場するのは実在のお店です」とか言ってるのもオシャレっぽくてイヤらしいですね。地方在住者の嫉妬も含んでますけど、本当にお話が面白かったらそういうのって言う必要ないじゃない。
原作者は多分「短歌って面白いよ」「思っているよりも君達若者に近いものなんだよ」って事を書きたいんだろうなーってのは分かるのだけれど、ここまでポップでオシャレな雰囲気にする必要があったのかどうかは甚だ疑問。
結局個人的趣味になってしまうけれど、「オシャレ」はやっぱり決定的に肌に合わないと再確認。誰に見せる為でもない「お洒落」なら粋でカッコいいと思うんですけどね。
痛みを知らない若者が嫌い。心をなくしたオシャレが嫌い。優しい漫画が好き。バイバイ。(ブックオフ的な意味で)
- 余談
ま、伊賀の方は2巻ラストの方で畳み掛けるように振られまくるので、その辺の話は実に痛快でしたが。モテ男の不幸は蜜の味。あちこち手を付けてた伊賀の場合は自業自得だけど。
- 余談2
あと勘違いされるとアレなんで一応フォローしとくと「痛みを知らない…」のくだりはキユ先生の伝説の巻末コメントを改変したもの。原文は「痛みを知らない子供が嫌い。心をなくした大人が嫌い。優しい漫画が好き。バイバイ」。
さすがキユ!打ち切り時のコメントでこういう捨てゼリフ的なことを言ってのける!そこにシビれる!憧れる…かどうかは微妙。とか何とか言いながら「ロケットで突き抜けろ!」は結構好きでした。