惑星のさみだれ 10巻 大完結!


 

惑星のさみだれ 10 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 10 (ヤングキングコミックス)

 前回はバタバタしててまともに記事書けなかったんで、今日は本腰入れての感想です。

 いやもう本ッ当に面白かったですね、この漫画は。これを読まずして「最近面白い少年漫画ねーなー」等とのたまっている奴は即トルチョック制裁の後に目ン玉を例の器具で固定して全巻一気通貫で読ませてやるぜフハハハハ!というくらいに面白いです。

 テーマについては今までの感想でちょくちょく語ってきたので、今日は10巻で気が付いたところをザラーッと書いていきます。

 あ、当然ながらネタバレ含みますので、例によって読んでない人は光速で本屋へ行って購入してください。余り本屋で見かけなかったので、初版少ないかもですよ。初版には限定で栞が付いてますよ(宣伝)。


 というわけでゴー。


・アニムスの最後の場面。いや、ここで秋谷師匠に繋げますか!これは凄い構成。なんとなく師匠の最後の場面で急にアニムスの事に言及したんで、少し違和感あるなとは思ってたんですよ。だって師匠って全知ではあるけれど、一度もアニムスと直接会ってはいないじゃないですか。なのにあんなふうに自分と重ね合わせて、「多分…彼も同じだ」とまで言えるのは、どうなんだろうと思ってました。いやいや、なるほどねえ。ナイス伏線であります。


・そして「おにいちゃ…」と泣き崩れるアニマ。こんなふうに10巻ではアニマの人間臭い表情がばんばん出てきます。アニマのキャラクターは、最初のうちは「物凄い力を持ったオトボケねーちゃん」でしたが、9巻10巻でかなり深く掘り下げられていて、良い感じですな。9・10巻でアニマファンになった人も多いんじゃないでしょうか。うむ、かく言う私も以下略。


・雨宮夕日VS南雲+白道。幻獣の騎士二人を手玉にとる夕日さんマジつえー。あと自分に出来る事を頑張る花子さんがイイです。皮肉にも太朗の死後から表情が出るようになってきましたよね。


・ハイ来た!「あの子を止めるのはぼくでありたい」宣言! 夕日が3巻で「演じきってやる」と言ってた頃からずっと、恐らく多くの読者にはこの日が来るのはわかっていたことでしょう。

 それでも震える!いや、それだから震える!コレを名作と言わずして何と言おうか!


さみだれの回想を織り交ぜながらのVS夕日戦。いやー、来るねコレは。「止まれ時間。止まれ!止まって!お願い!」の辺りでは遂にウルッと来ましたよ。その後で振り返る夕日がまたカッコいい。さすがヒーロー。


・そしてノイの幻獣化。コレも想像付いてた人多いんじゃないでしょうか。幻獣の力は一人に固定、とは誰も言ってませんものね。


・次にアニマのさみだれネタバレタイム。ここでさみだれが病である事を初めて知った騎士達は、自分に出来る事をする為に、戦う夕日とさみだれの下へ、傷ついた体を引きずっていく。その姿を見て涙するアニマ。前回もチラッと書きましたが、アニマはさみだれに先ほど自らの手で殺してしまった兄を重ね見ていると思います。助ける事が出来なかった兄。それと同じように力に翻弄されるさみだれ

 兄には私(アニマ)しかいなかった。しかし、さみだれには夕日がいる。獣の騎士団がいる。

 だから。

 だから只、彼らに「ありがとう」と言うアニマ。泣けるシーンです。


・「全部終わらせる」と言って空へ向かうさみだれを、夕日が追うシーン。渾身の力を振り絞っても届かない夕日を見るさみだれの寂しそうな悔しそうな顔がまた泣けます。しかしそんな夕日を押し上げてくれたのは、騎士団の想いそのものを形にしたような大きな大きな掌握領域。あとここからの夕日とさみだれの最終対決はもう、素晴らしいの一言。魔王の一撃を止めたのは、差し伸べられた手と「ぼくがついてる」という一言だってえんだから、もうたまらない。さみだれのぐしゃぐしゃな泣き顔もイイですね。


・そして元・魔王を出迎える騎士団。かつてさみだれが「止まって!」と切望した彼らの姿は、彼女にとっては仲間であり、同時に未来の象徴です。すぐにエヴァンゲリオンに結びつけるのはアレですが、あの最終回の「おめでとう」と同じく、これは孤独な魔王・さみだれにとってセカイへの帰還のシーンなんですよね。でもアレよりずっとわかりやすいので、本当に感動します。10巻は名場面だらけですなー。


・獣の従者と騎士の別れ。それぞれの味が出てていいですなあ。南雲・ダンスペアがイイ味出してます。ダンディだぜ。アニマとさみだれの別れのシーンも良い。今巻はアニマもさみだれも、イイ泣き顔を見せてくれてます。
 で、太陽の落涙に気付いて微笑みながら泣くロキ。この一年で太陽はかなり成長しましたよねー。ロキも安心したんでしょう。
 更に、泣き出しそうになって、太陽の大泣きに気付いて抑え込むさみだれ。こういう細かい所も良いですね。本当に良く出来た漫画です。


・でまあ当然のように霊鳥化してるムー。ですよねー。


・楽しそうに戦う三日月VS夕日を見つめながら、「多分 大人になれば楽しい事はあるんだ」と思う太陽。氷雨や半月が言ってきた「大人は楽しい」という事=言い換えるなら「未来は素晴らしいと思う事」が三日月・夕日世代に伝えられ、その次の世代の太陽に伝えられた瞬間です。いいわあ。


・ノイと夕日、ムーと三日月の別れのシーンもいいですな。物語では描かれていない部分でも築かれてきたであろう、二人+二人の絆の深さを推し量る事が出来る名シーンです。


・最終話の後日談。騎士団のその後がそれぞれ「らしい」感じで良いですなー。風巻夫婦は完全に想定外でしたが。


・見開きでVサイン出して「無敵!!」と言うさみだれがまたイイ!
 サイキックを失い、失ったからこそ、家族が、仲間が、夕日がいるからこそ言えるようになった、心の底からの「無敵!!」という言葉。ああ、やはり姫はカッコいい。


・最後のカラー4P。あれだけの物語を「こうして」と括るのがいいですなー。多分彼らにとって地球の存亡と同じくらい大変な闘いはこの10年の間にもあったでしょうし、これから先もあるでしょう。結局個人に担えるのは些細な物。地球の存亡だろうが、愛の告白だろうが、中間試験だろうが、優先順位のつけかたはあれど、括ってしまえば全部その人にとっては「一大事」なんですよ。セカイ系、と言われてしまえばそれまでですが、そのセカイの中でも「精一杯頑張る事」「希望を持つ事」「受け継いでいく事」の重要さをド直球で伝え続けた、本当に素晴らしい漫画です。最高です。


・しかし塗り巧くなりましたねー、水上先生。



はー、こんな所ですかね。

 何度も言いますが、これは是非アニメ化して欲しい=広く色々な人に知って欲しい、少年と、大人の中の少年の為の物語です。

 水上先生、素晴らしい物語をありがとうございました&おつかれさまでした。


 それでは最後に約束の言葉を再びコールウィズミー。


 あー面白かった!!



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「惑星のさみだれ」 5巻感想

「惑星のさみだれ」 6巻感想

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