CYNTHIA_THE_MISSION 8巻
「だから……っっ 戦う…!」
CYNTHIA_THE_MISSION (8) (REX COMICS)
- 作者: 高遠るい
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2008/05/09
- メディア: コミック
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「闘争」の快感と美学と残酷と尊さを、キャッチーなキャラ達を用いて高らかに謳い上げるステキ格闘漫画、「シンシア・ザ・ミッション」の第8巻。今巻も非常に面白かったです。良い漫画ってのは読む前も読んだ後もワクワクして堪らないものですが、そういう点ではこちらの漫画、すっかり私の中で「かなり良い漫画」にカテゴライズされてしまったようです。信者と呼びたきゃ呼ぶがいいさ。そいつは褒め言葉だ。
それでは良かった所をざらっと。ネタバレ含むので未読の人は回れ右。
・ほたる先生のボーダー靴下姿、良いですね。先日のヨルムンガンドの感想でも書きましたが、こういうキュートな格好で兵器の話や格闘といったベクトルの違う行動をされるとそのギャップに軽く萌えます。
・ファントムとノエルの会話にちょっとグッと来ました。何だかんだ言って基本イイ人ですよねファントム。顔怖いけど。
・5巻読んだ時の推測がビンゴでした。宝凌羽(パオ・リンユウ)、やっぱり盲目でしたね。舌打ちをしてる理由までカンペキ。わーい、予想通りー!(→1〜5巻感想)
・ほたるVS宝、逆転に次ぐ逆転劇。深いテーマを裏側に織り込みながらも、エンターテインメントとしてのベタ展開をきっちり抑えてます。グッジョブです。
・36話冒頭、思わぬ所でブリギット嬢が再登場。良いキャラだったのにホント容赦ないよなこの漫画は。そこが良いんだが。
・宝VSシベール、あっさり決着付いて「まーこんなもんかな」と思ったら、実はほたるの眩術だったというオチ。読み返したら、ほたるとシベールがすれ違った瞬間に、ちゃんとシベールの瞳がグラデトーンになってんのな。これは読めなかったわ。
・「次顔あわせた時にブッ殺せばオールOK!」って…。どこを押せばそういう台詞が出てくるんですか。シベール姉さんはこの漫画での不条理と暴力の象徴ですな。ステキです姉さん。
・遂に本大会のハイライト、シンシアVSシベール!未だ本格的な戦いは始まっていませんが、次のシーンが相当に鳥肌モノでした。
高熱でフラフラになりながらも強大な敵に立ち向かうシンシア。ここからトップに抜き出した台詞「だから…っっ 戦う…!」に繋がります。この場面を見た瞬間、「遂に来たーーー!!」と思いました。だってこのくだりには、この漫画のメインテーマがきっちり描かれているから。
「死にたくない。殺したくない。家業に翻弄されるのはもう沢山だ」というシンシアの想い。それはシベールの側からしてみれば単なるワガママ。そう、数話前でファントムがいみじくも言葉にした、単なる「ワガママ」だ。しかしそれこそが闘争の本質。洋の東西も問わず、老いも若きも問わず、「ワガママ=自分の想い」を通す為には、戦わなくてはならない。たとえその代償として、痛くても、辛くても、傷つけられても、傷つけても。それは、「誰かにとって都合の良い誰か」に甘んじない為に。自分がこう在りたいと願う自分のままで――「我がまま」で在り続ける為に。かくて拳に、蹴りに、言葉に、眼に、強い想いが宿る。そしてそれ故に戦いは残酷で、熱くて、美しい。
こういう具合にテーマを直球で思い切り叩きつけてくれる漫画はホントに読んでて気持ち良い。実に素晴らしい。
・そしてシンシア巨大化というまさかの超展開。フツーの漫画だったらポイする所ですが、上記の燃え展開の後では巨大化すらも些細な事。ゴー!シンシア!ゴー!
というわけで8巻も燃えまくりで結構なお点前で御座いました。
9巻はッ!9巻はいつだーッ!と思ったら、次巻で第一部完結?最近こそ減ったものの、漫画界で「第一部完結」とは非常に危険なキーワード。まさかまさかこのまま終わりになったりしないですよね?そんな事になったら、それこそ「嘘だ〜〜〜〜〜〜ッ!!」ですよ!
(いろんな意味で)刮目して待て!次巻!
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