看板娘はさしおさえ 1〜3巻


看板娘はさしおさえ 3 (まんがタイムKRコミックス)

看板娘はさしおさえ 3 (まんがタイムKRコミックス)

 以前から気になってた漫画、3巻が平積みされてた+原田たけひと先生の推薦文がついてたんで、まとめて3巻分つい衝動買い。

 家族で営んでいる町の小さな質屋さん、早潮質店の一人娘「早潮小絵(さしおさえ)」は小学1年生。(主にお金に)しっかり者の小絵ちゃんは今日もお小遣い目当てにお店を手伝います。

 さて、ある日お店に差し押さえ品として年代物の行李がやって来ます。蓋を開けてみると中から江戸時代の女の子「十世(とよ)」の幽霊が出てきて「このお店にいさせて下さい」と言う。聞けば十世ちゃん、行李に取り憑いてしまったものの、売り買いされて人手を渡り歩く人生がつくづく嫌になったとか。

 かくして、お姉ちゃんが欲しかった小絵ちゃんの押しもあって、早潮質店の一員となった(元)差押さえ品の十世ちゃん。


 看板娘の「さしおさえ」が二人になった早潮質店の賑やかな日々は、こうして始まりました。


 お話はそんな具合。質屋を舞台にしたほのぼの+ちょっとしんみりする4コマ漫画です。

 その他の登場人物は、古民具好きが高じて質屋になった為かイマイチ商売下手なお父さん、除霊が出来たり豊富なコスプレ衣装を持っていたりと謎の経歴を持つお母さん、小絵と同じ小学校の5年生で雑誌のモデルをやっている程可愛い五十鈴ちゃん、といった所。基本的にはこの5人がメインキャラで、お話に応じてゲストキャラも出てきますが、舞台に関しては質屋から動く事はありません。にもかかわらず飽きないで読ませるのが大したもの。

 ネタの作り方は「お金にしっかりし過ぎて小学1年とは思えない発言をする小絵ちゃん」「行李に服を入れると十世ちゃんの服も変わるのを良い事に、十世ちゃんを着せ替え人形にして遊ぶお母さん」「商売っ気が薄くて家族から今一つ信用を得ていないお父さん」「幽霊の癖に他の霊に取り憑かれやすい十世ちゃん」というキャラクターの特性を元にネタを作っていく、4コマとしては非常にベーシックな方法論。
 
 3巻まで通しで読んで良いなあと思ったのは、所々で「ちょっとイイ話」が入ってくる事。特に、初期では小絵ちゃんの小学生らしくなさ過ぎる、というかお金にがめつ過ぎるネタがほんの少し鼻についたものでしたが、それを十世ちゃんという姉が出来た事で小絵が子供らしい表情を見せるようになっていく、という流れに落とし込んだのが実に巧い。また、3巻収録の十世の姉の「とみ」の幽霊が質屋にやって来てから去るまでの一連の話も、寂しくも暖かい良いお話でした。
 
 あとは、お母さんが「夜の生活」の一端を垣間見せる話が稀に差し込まれていて、物語に艶を添えています。お母さんエロいよお母さん。

 パッと見の絵柄ほどには萌え方向ではなくて、幽霊が主人公の癖に割と地に足の着いた面白さを持った漫画でした(←巧い事言ったつもり)。


 続刊も買いです。

  • 余談

 時々タイトルのネタが色々と細かいのがツボ。「トラクタービーム」や「ボルタック商店」とかのゲームネタから、「厄いわね」や「雷電*1」や「餓眠様」等の漫画ネタまで。その他にも多数。ただそれが本筋を邪魔しないであくまでもタイトルで遊んでるだけなのがイイ。

  • 余談2

 ところで「まんがタイムきらら」系の単行本って何でこんなに高いんですかね。税込み860円。この漫画でも裏表紙の見返しに毎巻「860円」をモチーフにしたイラストあるし、作者さんも気にしてるんでしょうか。そういえば「GA-芸術科アートデザインクラスー」の2巻背表紙でもノダミキが「この本高いよ」って言ってましたね。もしかしたら漫画家さん側で「ちょっと私等の漫画、値段設定高いんじゃない?これじゃ逆に売れにくくなるんじゃない?」って話が出てるのかも知れません。「となりのネネコさん」や「だめよめにっき」みたいにオールカラーで高いのは仕方ないけど、ほとんどモノクロかつこの厚さで860円は高いよなあ。

 

*1:知っているのか雷電