未満れんあい 1巻
- 作者: 高嶋ひろみ
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/10/11
- メディア: コミック
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人の心にとって割と良い働きをもたらすにも拘らず、人はその感情に対して否定的な動詞を用いる。「溺れる」だの「現をぬかす」だの「囚われる」だのと言う事もあるけれど、そもそもその感情とセットで一番使われる動詞が「落ちる」というのだから、古来より人がそれをいかに強大で抗い難いものとして捉えてきたかがよくわかる。
またある時は「医者でも治せぬ病」と言われ、旧千円札の御人からは「罪悪」とまで言われるその感情。
それほどまでに人を畏れさせる、どうしようもない程の力を持った感情に、この漫画の主人公も囚われてしまう。
これは、13歳の女の子に「恋」をしてしまった、29歳の男のおはなし――。
表紙の女の子に惹かれて表紙買い。ええ。自分、おでこちゃん大好きっスから!ハンパないッスから!
内容の方はもてない29歳男と天然系の中学1年女子のラブコメディ。といっても1巻ではまだ片思いの状態ですが。
さて、男の方は彼女いない歴=年齢の、美少女・エロゲメーカー勤務の男「黒瀬一巳」。剛毛天パーで野暮ったい服装をした、全身からモテナイオーラを発している男。
かたや女の子の方は元気な中学1年生「小沢ともえ」。天然ボケ系で笑顔が可愛くて、そしておでこちゃん。
一見接点の無い二人が出会ったのは、とあるファミレス。友達に紹介された男の子と黒瀬を間違えたともえが、いきなり黒瀬にまくし立てる場面から全てが始まります。緊張の余り声高に彼女が言う事には、「ごめんなさい」「あなたと付き合う事はできない」と。
黒瀬が笑いながら人違いである事を告げると、緊張を解いて安堵の表情で微笑むともえ。
その天使の笑顔に、黒瀬はまんまと「落ちて」しまいます。こちらがその決定的瞬間。
その直後から黒瀬は動き出します。なんとか接点を維持しようと名刺とみかんを手渡したり、初めてのメールの返答に徹夜で悩んだり、制服から学校を突き止めて校門の前で待ったり。
ちょっとすれ違うだけで地に付く程に落胆し、ちょっと話しただけで天に昇る程に舞い上がる黒瀬は、まるで初めて恋を知った大きな子供のよう。野暮ったい服装ででかい図体でボワボワの天パ頭でいい年した大人の彼が、恋に翻弄されて思春期の男子のように行動する様はとても滑稽で、そして熱い。いやあ、これは良いラブコメですな。
冴えない男が可愛い女の子に惚れるなんてのは、まあラブコメとしては良くある話なのですが、対象を中学1年生という常識的に言えばヤバい領域まで落とす事で、その「恋という感情のどうしようもなさ、強力さ」を際立たせています。
実際このマンガ、ヒロインのともえちゃんがとにかく可愛く描かれてるのがイイ。おっちょこちょいで、素直で、一生懸命。それにあの笑顔の眩しい事と言ったら!黒瀬が一発で落ちるのもわかります。
ちょっと冷静に見ると世間から感覚が少しズレてる娘なんですが、そんなところもひっくるめて可愛いと思えるバランスを保ってるあたりが巧い。
ラブコメは何と言ってもヒロインの魅力が大事。そういう意味では自分もすっかり「落ちて」しまったようです。
さて、お話はまだ1巻。エロゲメーカー勤務という事が純真なともえにばれそうになるという非常にドッキドキの展開で次巻へ続きとなっております。
これは次巻も買うしかあるまいよ。おでこちゃん大好きだしな(しつこい)。
- おまけ
今表紙画像見て気付いたけど、ともえちゃんってばみかん箱に乗ってる!みかん箱に乗ってさえこれだけ身長差があるって事か。オビついてて気付かなかったけど、これはなかなか芸が細かい。みかんはキーアイテムだし。