学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD 5巻


 


 美少女+ホラーアクション漫画の第5巻。そういや今まで感想書いたこと無かったですね。

 お話は突然ゾンビが徘徊するようになってしまった町から安全な場所を求めて逃げる高校生達の戦いを描いた物語。要素としてはガンアクション+ブレードアクション+女子達のお色気+ゾンビの恐怖+少年少女達の葛藤+ちょいラブコメ、と言った所。

 闘う女子高生達の肢体が無闇にエロく描かれていて実にグッジョブ。また、劇中では<奴ら>と呼ばれるゾンビたちの気持ち悪さも容赦なく描かれていて良い。

 また、ゾンビはいえ元は人間だった存在を破壊する事や、他の生き残った人間との争いが主人公達の精神にストレスを掛けていく様子がドラマとして面白く、見ごたえがあります。同時に、一つずつ難局を乗り越えて行く度に彼らの間に仲間としての絆が生まれていく様子も描かれていて、それが物語中での希望の要素になっています。ま、逆にそれ故に起こる恋の鞘当てなんてのもあったりする訳ですが。


 良い意味で非常に優れたB級ホラーアクション。女子のお色気シーンに、ゾンビの破壊に、窮地の脱出に、思う存分ドキドキすればいいという基本的には非常にシンプルな娯楽作です。

 で、もう少し深くゾンビ物を楽しもうとする時に出てくるのが『ゾンビという「人間で無くなった人間」との係わり合いの中で露になる、人間そのものの醜さ・愚かさ・尊さ』なわけですが、この漫画でもその辺は抜かりなく描かれていて、実に良い。極めて王道ド真ん中のゾンビ漫画(?)です。


 さて、5巻では遂に舞台は大型ショッピングセンターへ。4巻でこの展開になった瞬間にニヤリとした貴方は間違いなくソウルブラザー。何せゾンビといえば大型ショッピングセンター。大型ショッピングセンターといえばゾンビですからね。本家ゾンビ「DAWN OF THE DEAD」へのリスペクトを表すという意味で最早聖地巡礼みたいなもの。ああんもうニヤニヤだなあ。

 
 続刊ももちろん買い。たまにはこういうわかりやすい漫画でガス抜きするのも良いもんです。


  • 余談

 で、この漫画で何気に好きなのが奥付。


 


 こんな具合に毎回その巻で出てきたり死んだりした人達の、ゾンビ発生異変前の日常を切り取った1コマなんですが、これが何か凄く沁みるんですよ。

 劇中ではド外道だったり超自己中だったり惨死したりしてる人達の、何でもない普通の生活。こんなことさえ起こらなければ、ずっとこうして平和に過ごしていたであろう人達が、異常な状況下での極度のストレスにより歯車が狂ってしまう、という事がこの1ページだけで伝わってくる。

 もちろん主人公達のように悩みながら苦しみながらも真っ当であろうとする姿は人間として素晴らしく賞賛に値するのですが、おかしくなってしまう弱さを持っている彼等は、その弱さこそが人間らしくて愛おしくなってしまうのです。