AKIRA?
- 作者: 大友克洋
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/12/03
- メディア: コミック
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近未来SFマンガの金字塔として後年に語り継がれるであろう傑作の一つ。
20〜30代のマンガ好きならまず読んでるんじゃないかと。
ん?ちょっと待てよ…総…天然………総天然色ゥ!?
何でも海外で出版されたAKIRAはカラー版で、このAKIRAはいわば逆輸入版。
その彩色を活かしつつ、しかも一度日本語から英語に翻訳したものをもう一度日本語に翻訳するという(某巨大掲示板の某スレのような)作業をやっていて、確か広告には「日本語版のAKIRAとのニュアンスの違いをお楽しみください」みたいな事が書いてあった気がする(つまり大友克洋のオリジナルとセリフが違う)。
で発売して即*1、AKIRA好きの自分としては3,800円という値段に躊躇しつつも、とりあえず1巻を買ってみたわけですよ。
そして…
なんじゃこりゃあ!(松田優作の真似で)
確かにオールカラーでアメコミ風の着色も悪くないし、紙もいいものを使ってる。ただ、あまりにもセリフが違いすぎる。違いすぎるだろニュアンス。
日本語版を何度も読んでるからとか、それだけじゃなくて何か変。「ヨタヨタのジャンキーどもになめられてたまるかよ。俺達ァ健康優良不良少年だぜ」の名台詞まで変えられちゃってるし。
あまつさえ日本語版と違って辻褄合わないところもあるし。これならモノクロでも普通のAKIRAの方が二万倍面白い。久しぶりに後悔するマンガを買った(精神的にも金銭的にも)。
と言うわけで2巻以降は見向きもしませんでしたとさ。
いやー、果たして売れたんでしょうかコレ。こんな立派な本作っちゃって、人事ながら心配です。
- 余談
やっぱ日本人が日本語で書いたものはそのまま読まなきゃな。極端な話、宮沢賢治とか英訳しても絶対わからんと思うぞ。日本語を使った音楽だからなアレは。
(逆に言えば英語がわからん限り、洋画を100%理解も出来んのだろうが)
そういう意味では「漫画大国ニッポンに生まれて良かったなあ」と心から思うよ。
さらに余談だけど、漫画ってのはやっぱり日本語の表現力に依存してる部分があると思う。例えば一つの言葉を「愛してる/アイシテル/あいしてる」と書き分ける仮名と漢字の使い方があって、また自分を表す言葉でも「俺/僕/私/あたし/わし/…」と非常にたくさんある(英語では全部”I”だ)。
この表現力の豊かさが、できるだけ少ない文字でニュアンスを伝えきる事が要求される漫画という媒体で非常に有利に働いているのではないか、と思う。
自分が日本人で、日本語でマンガが読める事って、ホンット幸せだわ。
そんな思いを噛み締めつつ、今日もマンガ読んでから寝ます。
おやすみ。
*1:当時2003年12月