まんがサイエンス 11巻
「それが秒速7.9km 宇宙に届くスピードだね」
- 作者: あさりよしとお
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2008/04/03
- メディア: コミック
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わかりやすい説明と科学的ロマンが素晴らしいレベルで結実しているシリーズ「まんがサイエンス」の最新刊が出ました。しかも今回のテーマはロケットだって言うんだから堪らない。いやー、あさりよしとお先生の描くロケット漫画って大好きなんですよ。
ある夜、小学生のノゾムとカケルは流れ星が裏山に落ちるのを見た。しかしそれは実際は異星からやって来た宇宙船で、その宇宙船の乗組員はカケル達と変わらない年恰好の一人の少年だった。カオスと名乗るその少年は言う。
「宇宙船が壊れて帰れなくなった。君達に宇宙へ行く方法を考えて欲しい」と。
ノゾムとカケルの二人にガールフレンドのミドリも加わり、宇宙を目指す小学生達の挑戦が始まった。
あらすじはそんな感じ。基本的には学習漫画*1なので、3人が試行錯誤をしながらロケットの理論と仕組みを学んでいく構成。自然、「まんがサイエンス2巻」とかぶる内容も多々含まれるのですが、あさり先生の解説は何度読んでも本当にわかりやすい。
例えばこちらは地球の重力モデル上での人工衛星の動きで、秒速7.9kmを出し続ける物体は地球の丸みに沿って落ち続けることが出来る事を表した絵。
言ってしまえば教科書や科学の入門書の挿絵や図示には同じような表現があるのでしょうが、それを漫画で表現するとなると話は別。複数行にわたる文章を駆使できる一般的な本と違って、漫画は絵と最低限のセリフで仕組みを理解させなきゃならない。絵のわかりやすさは元より、そこらへんの情報の取捨選択が絶妙なんですよこの漫画は。「わからなかった事がわかる」って本当に楽しい事。この漫画にはそれが詰まってる。
ロケットの歴史を絡めながら描かれていた同2巻やストーリーを重視した「なつのロケット」に比べ、今巻はどうしてもロマン的な部分が薄い印象がありますが、それでも十二分に面白かったです。こんな言い方をすると怒られちゃうかも知れないけど、やっぱりオトコノコってのは宇宙を目指す物語ってだけで無条件でワクワクしちゃう生き物なんですよ、きっと。
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同じくロケットをテーマにした「まんがサイエンス」の2巻。こちらの主人公はいつものメンバー、よしお君とあやめちゃん。個人的にはあさりちゃんよりあやめちゃん派ですが誰もンな事聞いてませんかそうですか。
過去記事の『「あ〜ん」を好きな漫画で埋める』、マンガナツ100の2つともで選に入れた傑作。どんだけ好きなんだ俺。ロケットのロマンと少年時代の夏を全1巻に閉じ込めた名作。指南役として出てくる悪ガキみたいな女教師がまた良い先生なんだコレが。本当の教育ってこういう事じゃないのかな。
→「なつのロケット」感想
あらら画像出ませんね。偉人達を描いた名シリーズ「栄光なき天才たち」のロケット編。ツォイオルコフスキーに始まって、ゴダード、オーベルト、フォン・ブラウンに至る宇宙開発史の光と影、そして彼等が織り成すアツい人間ドラマ。アポロ打ち上げの瞬間のフォン・ブラウンの雄叫びは何度見ても鳥肌が立つ。
初期短編集に収録の「N・A・S・A」。50歳近い宇宙大好き男が民生ロケットで宇宙を目指す、というロマン溢れる物語。残念ながら途中で終わってる短編ですが、最後まで読みたかったなあ。
現在だとこちらの版の方が入手しやすいと思います。