ベルとふたりで 1巻
- 作者: 伊藤黒介
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2009/07/16
- メディア: コミック
- 購入: 10人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
すず…ヒト、メス、7歳。
ベル…グレートピレニーズ、メス、7歳。
いつもいっしょの一人と一匹が織り成す、騒々しくも暖かい日々を描いた4コマ漫画。
水彩画風の表紙絵に惹かれて表紙買いしましたが、これは良い拾い物でした。ひたすら元気な小学生すずと、犬離れした行動を見せるベルが見ていて楽しいのはもちろんの事、周りの人たちがキャラが立ってるのが実に良い。
また4コマのネタとしても無闇に捻ったものではなく、誰にでもわかるような素直なネタ作りが好感度大。先程述べた「キャラが立ってる」事も手伝って、見事に「何でもない日々こそが素晴らしい日々である事」を描ききっています。サザエさん的な良さというか。
実際、読後に思い浮かんだのは「あ、コレ昭和の匂いがするな」でした。
確かに、金持ち自慢の女の子とか、やたらモテモテの男の子とか、怖い先生とか、子供を目一杯叱る癖に子供が好きな近所のおじいさんとか、キャラ立ては一昔前の具合なんですが、それを妙に懐古趣味に持っていかないのが巧いです。
むしろ作者さんは、それら昭和の下町的な暖かさを現代の物語の中に溶け込ませる事で、「無くなってなんか、いないよ」って言ってるように思えます。
ちなみにこちらは口絵の主人公ふたり。ナイス笑顔。
こんな具合に、無条件で「ほわっ」とさせられる柔らかい絵柄も魅力です。
また、素直なネタとは言いつつも決してベタネタではなくて、ちゃんとクスリと出来るスグレモノ。初単行本との事ですが、どこかで余程研鑽を積んできたような、こなれた印象を受けました。
最近きらら系に押され気味の気もする4コマ界隈ですが、こういう真摯な良株を拾ってくるからやはり老舗は侮れません。出来ておる喃。
誰が読んでも楽しめる良作と信じます。続刊にも大期待。
- 余談
ま、オッサンホイホイである事も否定はしませんが。
こちらはすずの叔母さんにして獣医の「ユキおばちゃん」。背が高くてパワフルなお姉さんキャラ。
しかもそのペットの名前ときたら…
な?
というわけで、この名付けセンスにピクリと反応したオッサンは迷わず買えばいいと思うのです。