はじめてのあく 1巻
- 作者: 藤木俊
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/05/18
- メディア: コミック
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前作「こわしや我聞」において、國生さんという強力キャラで全国10万人*1の「黒髪ショートカットでパッと見は地味なんだけどその仕草・態度がスゲエ可愛い娘好き*2」の皆様を虜にした藤木俊先生がサンデーに帰ってまいりました。待ってたぜえ。
で、期待の新作の出来はというと、
出来ておる喃、藤木は。
と言わざるを得ない素晴らしい出来。素直に面白かったです。
お話は悪の組織に属していた主人公「阿久野ジロー」が従兄弟の「渡キョーコ」の家にやってきて居候するドタバタコメディ物。
俺様主義の悪の科学者であるジローがキョーコを改造しようとしてぶっ飛ばされたり、妙な発明品で騒動を巻き起こしたり、というコメディ要素と、一つ屋根の下に暮らすキョーコとジローのほんのりラブコメ要素が、良い塩梅でブレンドされていて楽しく読めます。
で、やっぱり良く出来ているのがヒロインであるキョーコのキャラ。眼鏡で頭ボサボサのショートカットで貧乳。普通の漫画だったら完全にモブの造形のキョーコちゃんですが、それをびっくりするほど可愛く見せてしまうのが藤木マジック。
キョーコの台詞回しや若干ツンデレ気味の態度によって、トラブルメーカーのジローを厄介に思いつつも意識し始めている事を仄めかし、更に友人のアキちゃんユキちゃんを始めとするオーディエンスの冷やかしを赤くなって否定するキョーコを描く事で、その裏づけとしています。
と、ここまでは、素晴らしきトラディショナルラブコメ展開。
で、藤木先生はそこからもう一ひねりして、漫画に良くある「見栄えの良いヒロイン」ではなくて、あえて「ちょっと地味目のヒロイン」を使ってその展開をやる、という所が巧い。そうする事で、内面から滲み出る可愛さ、言ってしまえば「異性を意識している時の乙女の可愛さ」を、容姿というバイアス無しに見せているんですね。
そう、つまり「可愛いというフィールドにおいて、恋する乙女はいつだって無敵」という世界の真理を、あえて外見を「並」に設定する事で、純粋に取り出して見せているわけです。で、それによって「あ、キョーコ可愛いな」と思い始めたら、もう首まで術中に嵌ったも同然。眼鏡もボサボサ頭も貧乳も、初見では「パッとしない要素」であったそれら全てが、可愛らしく眩しく見えてきます。(まあ自分の場合、眼鏡とショートカットも貧乳も始めからプラス要素でしかありませんが)
とまあ結局何が言いたいかというと、キョーコがとても可愛かったりデラ可愛かったりなまら可愛かったりスゲエ可愛かったりする漫画なわけですよアンダスタン?
とはいえ、俺様第一主義で恋愛に疎いジローがキョーコにドキドキする様子も、実に微笑ましくて可愛いですねえ。甘酸っぱい喃、甘酸っぱい喃。
いやー、これは良いラブコメを堪能させて頂きました。無論続刊も全力で買いです。