ジェネラル・ルージュの凱旋

 

ジェネラル・ルージュの凱旋 (ワンダーランドコミックス)

ジェネラル・ルージュの凱旋 (ワンダーランドコミックス)

 チーム・バチスタの栄光シリーズの1作を高遠るい先生がコミカライズした代物。

 チーム・バチスタシリーズは映画も小説も知らないので世界観に入り込めるか心配でしたが、高遠先生の作品とあっては見逃せないと表紙買いで購入。

 で、結論から言うと、スッゲエ面白いです。

 原作がそうなのか漫画版がそうなのか分かりませんが、漫画が原作のストーリーに沿っているとしたら、コレって結構ケレン味のあるキャラと話だよなあ。いい意味でドラマチックというか。

 お話はとある大病院の収賄容疑を巡る病院ドラマ。主人公ジェネラル・ルージュこと速水外科医の神業っぷりや唯我独尊っぷり、更にはその敵となる倫理問題委員会の沼田の毒蛇のような性格と目つき、速水と同期でありながら彼の収賄容疑を調査する立場の神経科医田口の頭の切れ具合等々、出てくるキャラは皆ステレオタイプというか非常に「わかりやすい」造形をしています。

 そんな彼等が織り成す善悪のせめぎあいや逆転劇は物語として実に面白く、しかもそれが高遠先生独特の熱の篭った描線で描かれているのだから堪りません。

 で、何がイイって主人公の速水がひたすらカッコいいのがイイ。

 大学病院というタテ社会の中にあって、倣岸不遜で飽くまでも己を貫き通す態度の裏には、目指す医療現場への揺ぎ無い信念と情熱、そしてそれを裏付ける技術がある。やーもう男前過ぎます。痺れるわー。

 

 そしてそんな速水に収賄という黒い噂が生じるのだから、舞台設定としては実にドラマチック。先を知りたい欲求でどんどんページを繰ってしまいます。これはいい。


 「シンシア」や「ミカるんX」のファンの人で、「どーしようかなー。「バチスタ」も読んでないしなー。でも高遠先生の漫画だしなー」なんて悩んでる人はマッハで購入をオススメします。単体でキッチリ楽しめる良作ですので。


  • 余談

 そういう意味ではこの作品のコミカライズにあたって高遠先生をチョイスした編集さんのセンスに感謝せざるを得ません。誠にナイスセレクチオンです。

  • 超余談

 表紙折り返しの高遠るい著作リストに『「ミカるんX」全2巻』とあります。

 終わってねーよ!!