妹本
- 作者: 曙はる,むんこ
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2008/06/07
- メディア: コミック
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むんこ先生の同人誌時代の作品を集めた作品集。共著の曙はる先生という方は全く知りませんでしたが、絵柄もとっつき易く中々に面白かったです。単行本でたらチェックしとくかね。
最近は色んな作家さんの同人時代の漫画が単行本で出るようになって嬉しい限り。お手軽に店頭で、しかも綺麗な装丁でそういう漫画が手に入れられるのは、自分のように同人誌まで手を出す余裕と気力がない人間には大変ありがたいです。
お二人の漫画に共通するのはタイトルの通り「妹」というテーマ。色んな形の妹を描いた暖かいお話が詰まっていて面白かったです。
<むんこ先生・Aパート>
「○○コンプレックス」…しっかり者で人気者の兄と、対照的に平凡な妹。幼くして母親を亡くし、二人暮しをしている兄妹のお話。
・何でも出来る兄にコンプレックスを持っていて、つい反発してしまう妹が可愛い。
・でもそんな兄も妹に支えられている部分があって…という、よくある話っちゃあよくある話。でもそんなベタをきっちり魅せてくれる「むんこ節」はこの頃から健在。沁みるわあ。
・考えてみればむんこ先生の描くカッコいい男の子って見慣れないだけに新鮮。一見した時は「男の癖に後ろ髪なんて縛っちゃってスカしてらあ」と思ったけど、後に明かされる長髪の意味にじんと来ました。巧い。
<曙はる先生パート>
「fairy land」…兄は青年、妹は幼女。十九歳離れた兄妹のお話。
・最初は年の離れすぎた妹を煙たがっていたのに、最終的には
・妹であるももこちゃんが可愛すぎ。プリティ極まりなさすぎるにも程がある。兄の陥落も止む無しと言えよう。
・ももこの保育園の制服が某カードキャプターの制服にクリソツなのに言及するのは無粋ですかそうですか。
・でもってラスト。ここまでシスコンコメディで持ってきておいて、そこでしんみり系に落とすかよ。やられた!
<むんこ先生Bパート>
「ぴたんと」…小学校低学年くらいの兄と保育園くらいの妹のお話。他のむんこ作品でもたまに見られる無声映画方式の4コマ。
・この無声映画の形、ホントに巧いよなこの人は。台詞が全く無いのに話とキャラの心情をここまで「伝えきる」能力って凄い。
・ちょっと妹に意地悪な兄と、それでも兄が大好きな妹。それは兄の意地悪が好意の裏返しである事を、妹は何処かで感じとっているから。ああんもう可愛いなあコイツラ。
「妹萌えー!」というよりは、兄と妹の関係性をしっとりと見せてくれる作品集でした。安易に恋愛関係に持ち込まない所も良い。
似て非なる大事な人が、ふっと視線を向けると傍らにいる幸せ。そしてその人が見つめ返してくれる幸せ。いやあ、暖かいねえ。