モンスターキネマトグラフ

モンスターキネマトグラフ (リュウコミックス)

モンスターキネマトグラフ (リュウコミックス)

 あらら、やっぱり表紙画像出ませんね。


 表紙画像出ましたー!はまぞうグッジョブ!


 とりあえず作者が「ちょっぴり眉根を寄せた年増妙齢の女性の笑顔を描かせたら天下一品」だという事はわかりました。

 
 お話は興奮すると怪獣に変身するという困った体質を持った女性「マミヤさん」が主人公の、コメディ仕立ての人間ドラマ。舞台は第二次世界大戦後の日本で、まさにキネマトグラフと呼ぶにふさわしい戦後のロマンと、事あるごとに「あんぎゃあああ!」と変身するマミヤさんとのギャップが可笑しくも哀しい佳作に仕上がっています。

 コメディ部分もドタバタ的ではなくて「マミヤさんのちょっぴり大変な日々」的な、絵ヅラはダイナミックながら(なんせ怪獣ですから)どこかほのぼのとした暖かいもの。所々に挟まれる人情味あふれる話がまた大変良い。読んだ人にだけわかる話をすると「ヒラタ君のハンカチの使い方」とか、ドラマ的にはベタながらも実に巧い。


 怪獣が人間ドラマをやっているという可笑しさと、彼女だって人間なんだという物哀しさを同時に与える不思議な物語は、結局はとても普通の終幕を迎えます。そしてそこで見せる彼女の笑顔がとんでもなく胸に沁みる。普通とは何と素晴らしいものか。

 
 ストーリーの仕立て方とか構図とかがすごく上手で、とても初単行本とは思えない。そして冒頭でも触れたとおり、何よりも魅力的なのが主人公「マミヤさん」の笑顔。苦労人で芯の強い(ちょっぴりトウの立った)黒髪女性の困ったような笑顔が見たけりゃ今すぐ本屋にゴーだ。今後「化ける」可能性を充分に秘めた作家さんだけど、主婦みたいなんで描かなくなる可能性もあるし、更にリュウコミックスの単巻ものと来れば入手困難になる事も考えられる(オイ)。年増好きは買っといて損はないかと。

 あ、あとソチラ系が好きな御仁はスーツ+メガネの主要男性キャラ「ナカジマさん」のツンデレ具合に萌えるのも良いかと。


  • 余談

 特撮好きにはニヤリとするネタも仕込まれててグッド。作者さんも相当に特撮が好きなようです。たしかに昔の特撮作品ってなんだか妙な魅力がありますよね。怪獣の悲哀を描いたお話、という枠組みで捉えるなら、ウルトラマンシーボーズ編が好きな人には直球ストライクの漫画かと思います。

  • 余談2

 ところでマミヤさんってばこんな体質で子供作れるんだろうか。ラストがアレだっただけに、下世話ながら非常に気になります。


 (08-01-27追記)
 あーそうか!12時間に1回しか変身できないんだから、その間を狙ってすればいいのか。安心した。