ぼく、オタリーマン。2
- 作者: よしたに
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2007/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この手の漫画にしては、なんか偉くハイペースで出たな。よっぽど1が売れたんでしょうか。
内容はSEで彼女ナシでオタクの作者の日常を描いた漫画。基本的には作者さんのホームページ「ダンカン」の内容そのままです(ただし2巻は書下ろしが半分くらいとの事)。
コロッとした見やすい絵で描かれる作者のオタク的行動*1やSEの大変さは、オタクはもちろん「労基法?…何ソレ美味しいの?」とか言いかねない企業で働いている人達の共感を誘います。つまりオタク+ハードワーキンな自分にとってビンゴ過ぎてたまりません。まー自分の仕事なんてSEに比べりゃ可愛いもんですが。
という事で内容は面白いんですが引っかかる点が一つだけ。オビ裏面の惹句に「29歳、職業SE。独身、彼女ナシ…そしてちょっぴりオタク。」ってありまして。それでもって前作が物凄い勢いで売れたらしくて*2。
…ああ、なるほど。もしかして所謂「チョイオタ層」に売れてるっつう事ですか?漫画コーナーじゃなくて一般書籍の平積みに並んでたりするし。「よーしボクもこの本読んで共感しちゃうぞー」「でもって女子に『あのさオタリーマンって漫画があってさ、俺もちょっとオタ入ってるからビシバシ共感しちゃってさあ』とかアピールしちゃうぞー」みたいな感じですか?*3
ああン?バンダナ巻いた事も、面と向かって「ごめん無理」とか「キモい」とか言われた事も、床に堆積するシュリンク*4に足を取られて転んだ事も無い連中が眠たい事言ってんじゃねえぞボケが。
オタクをモテる為の道具に遣ってんじゃねえよ。
大体オビではああやって書かれてるけど、よしたにさん(作者)って確か
ガチオタだぞあの人*5。「ちょっぴり」じゃなくて「ガチでオタ」。
一般人にもわかるようにオタだけが分かるネタは避けて、オタクの心理とか行動に絞って書いてる作風は、絵や雰囲気こそ違えどカラスヤサトシに近いんじゃないかと思います。ただ、セルフツッコミ性能(客観性)がカラスヤさんに比べてちょっと落ちる*6んで、その辺が逆に「オタぶってる」とか「ちょっとオタク」に見えちゃう要因なのかも。
漫画をよく読めば分かるけど、よしたにさんは話も話の作り方それ自体もきちんと「痛い」オタクです(褒めてるのソレ?)。だから「形だけのチョイオタ」ごときがこの漫画読んで「あるある!」なんて言うのはちょっと違うんじゃないかなー、と。
まあアレだ。カラスヤサトシの紹介の時にも使ったネタだけど、「ナンパなチョイオタはよしたにに土下座」」だ。
- 余談
まーそういう意味では、惹句とか前書き等に端的に現れてる中経出版の「売り方」自体はあまり好きじゃないな…。
- 余談2
別にオタク至上主義で「ガチオタはチョイオタより偉い」って言ってる訳じゃなくて、単純にモテる為/個性をアピールする為の道具に使うだけの連中が許せないんですよ。せっかく面白い漫画がいっぱいあるんだから、きちんと作品そのものを楽しんで欲しいんです。そうじゃないと一生懸命描いてる漫画家もその作品も報われないじゃないですか。