いわせてみてえもんだ

いわせてみてえもんだ (ヤングガンガンコミックス)

いわせてみてえもんだ (ヤングガンガンコミックス)

 Webで途中まで読んでて、最後どうなったのか気になってた作品。ヤングガンガンで連載してたらしく、Web連載当時の粗い絵じゃなくてキチンとペン入れされてます(当たり前か)。でも心なしかWebの時のほうが絵が良かった気が…。

 主人公「吉川ヨシオ」は地味でモテない高校1年生。ところが、ある日訪れた友人の高校の文化祭で、突然数人の女子に囲まれてキャーキャーもてはやされるという異常事態に遭遇する。しかもヨシオはその中のメガネの似合う女子「宮崎トモ」に一目惚れ。で、何でも彼女達が騒いでいるのは「あなたがある漫画に出てくる「秀作」という大大大好きなキャラにあまりにもそっくりだから!」との事。勢いでトモに「彼女になってください」と言ってしまったヨシオだったが、重度の漫画オタク(秀作オタク)であるトモの妄想&暴走は留まる事を知らない。果たしてヨシオが「吉川ヨシオ」として見てもらえる日は来るのか…?

 お話としてはそんな感じ。最後まで読んだ所、ほとんどWebの方で読了してて、読んでなかったのは最後の2話ぶんくらい。そのせいもあってか、ラストが割りとあっさり目で終わってるのがもったいない気がします。

 以下ネタバレ注意の為反転。

 ラスト前の13話でヨシオが描いた下手くそなマンガをトモが読む所で結構盛り上がりますんで、最終話の冒頭は待ち合わせのシーンじゃなくてトモが走り出すシーンで始めて欲しかったですね。で、それをヨシオがトボトボ歩いてるシーンと交互映しで進めてって、見開きで「ヨシオさん!」って呼ばれた時に幻聴じゃなくて現実だって気付くとか(ベタ大好き派)。で、再会する場面の河原なんだけど、あれって多分12話でトモと別れた河原と同じなんだよね?だけどランドマークが無いからイマイチ分かりづらい。横からのロングにして目立つ建物入れた方が良かったのでは。
あと最後にデートの約束する時も秀作絡みで日曜日にするんじゃなくて、ヨシオをヨシオとして見てる発言が欲しかったですね。直前にトモがヨシオをヨシオとして見てなかった事をキチンと謝ってるだけに、尚更。んー、そうだな、例えば

「ヨシオさん、来週の土曜遊びに行きませんか?本屋に一緒に行きたいんです」
「えっ?日曜日じゃなくて?」
「私は「ヨシオさん」と「土曜日に」約束がしたいんですっ」
「(赤くなって)…はい、じゃあ土曜日に」
「良かった。…ヨシオさんはどんなマンガが好きなんですか?」
「えーと、「スーパー美容師伝佐藤!」かな…」
「!!…やだなあ、もう私に合わせてくれなくてもいいのに」
「合わせてなんかいません!あれがあったから、僕はトモさんに…好きな人に…会えたんですから…」
(微笑んだトモのUPの後にロングのバックショットになって)
「そっか…私も「スーパー美容師佐藤!」が好きだなー」
「イヤ、それは知ってますって」
「…ふう、ここで文脈読めないのがヨシオさんなんだなあ」
「えっ?それってどういう…」
「知―らないっ」

―終わり―

みたいなね。ああ、つくづくベタ大好きだなあ俺。そして妄想暴走大爆走だな俺。


 えー、ちょっと妄想入って反転長くなりましてすみません。もちろん上記がベストとは思っていませんが、ラストの落とし方でもう1ランク良いものになったかと思うと勿体無くて。元が良いだけに。
 
 もちろんマンガとしてはデッサンは狂ってる所あるしトーンの使い方下手だし構図の選択もイマイチな所あったりヨシオの表情が少なくてイマイチ感情移入できなかったり(言い過ぎ)まだまだこなれてない部分はあるんだけれど、着眼点とかストーリー仕立ては面白いんで機会があったらまたこの人の漫画読んでみたいです。まーこの漫画自体が企画物的な部分が多分にあるでしょうから、商業誌ですぐに次作ってのは難しいかもしれませんが、Webの方でまた何か書いてたらいいなー。

  • 余談

 どーでもいいですけど秀作の名字「市川塩浜」ってどっかで見た文字列だと思ったらアマゾンの住所でした。うん、本当にどうでもいい。