鏡の法則

 ブログで話題になってるみたいですねー。鏡の法則。ちなみに元ネタはこちら

 <以下感想になります。ちょっと時間掛かるけど、出来れば元ネタ読んでから以下を読んでください。偏向かかっちゃうからねー>




 読まれましたか?泣きましたか?
 
 2・3ヶ月前にどこかからのリンクで読んだこの話、何でも読んだ人の9割が泣ける程良い話だとか。で、もちろん今日も再読した上で言うんだけど、




 「素敵なお話」とか「目からウロコです!」とかバッカじゃないの?




 話もご都合主義に過ぎるし、仮に万が一実話だとしても、それと同じ方法を読んだあなた達が試さにゃあ意味ないでしょが。第一こんな方法をとらなくても同じような問題を解決した人間も幸せになった人間も山ほどいるだろう。だいたいB氏の宗教的というか悪徳商法みたいな話の展開の仕方が鼻について実に気持ち悪い。残念ながら私も頭が良い方ではないのでこのお話のどこに穴があるのか、明確に述べる事は出来ないけれど、逆に言えばどこでそんなに感動するのかがわからない。
・A子の父親が泣くシーン?
・息子と和解するシーン?
・親子三人で夕食を食べるシーン?
 いずれにしても良く出来たお話としてしか捉える事ができない。とはいえ、もちろん作り話だったとしても本当に良い話なら構わない。ただ「自分を見つめなおす事」「何か問題が起こった時に状況を客観的に捉える事」などと言うのは日常的に行って然るべき行為であるし、仮にそれが出来ないとしても赤の他人にここまで頼り、信用し、実践する事など(私の)常識的に考えられない。多分私がこの話に嫌悪感を抱くのは、A子の事件が起こるまでの余りにも酷い無思考さと、B氏に相談した後はB氏の言いなりになる無思考さ、及びB氏の悪徳商法的なある種A子を追い詰めるような話の展開だ。

 
 それに自分で解決してこそ価値のある問題ってのもあるだろう。仮に私がこのような状況になってB氏のような話を聞いたとしてもまるで聞く耳を持たないだろう。その代わり、考えうる最悪の結末を受け入れるだけの覚悟を持って問題にあたるだろう。そして不幸な結末になったら一生自分を苛んで生きる。それが自分自身の選択と結果だからだ。
 でも仮にA子がB氏の言う通りにしても問題が解決しなかったら?A子はB氏を、そしてB氏を紹介した夫をも恨むだろう。しかしそれは全くのお門違い。誰だってどんなメソッドだって万能ではないのだ。恨むなら安易に他人の言葉に頼りきりになる自分の軽率さこそ恨むべきだ。


 こういうコミュニケーションの問題ってのは大なり小なり誰だって経験するもの。従ってそれをテーマにし、かつ思っても見ない方法*1で解決するこのお話は、有用な解決法の一つとしてあなた方の目に非常に画期的に写るかもしれない。

 
 しかし自分で考える事を放棄した人間はクソだ。助言を受ける事も良い。誰かに相談する事も良い。ただ、それら他人の意見を噛み砕き、自分の腹に落とし込む事も省略して、B氏の「それはやってみればわかると思いますよ」という言葉に縋ってしまうのは余りにも愚かだ。簡単に騙される人間ってのはこういう人なんだろう。


 この話を読んで泣くなとは言わない。ただし泣いた人は、どこで泣いたのか、何故泣いたのか、自分と重なるところがあったのか、鏡の法則を信じるか、信じないか、人に勧めるべき話か否か、頭から煙が出るまでじっくりと考えてほしい。そこにはあなたなりの答えがあるはずだ。ブログや口コミで「とにかく泣けるから読んでみて!」ではA子と同じく余りにも無思考・無責任ではないか*2
 泣いてしまった人には、せめて「考える」という一点を持って自分はA子とは違うという事を証明して欲しいのだ。

  • 余談

 じゃあここからはぶっちゃけの話で。
 つーかね、理論云々よりもこういう話にある種の気持ち悪さを覚えない+警戒心を抱かないで、本当に9割も泣いていたとしたらお目出度い人間が多すぎるよ。出来すぎた話ってのはまず疑うもんだ。アンテナを働かせてコレが本当に食えるのかどうか、食うに値するものかどうか吟味すべきだ。確かに話の展開は「泣かせ」であり、その意味ではよく出来た話だが、その向こう側にあるものの気持ち悪さ*3を知覚することが出来ないのは触角が鈍っているとしか思えない。
考えろ。
考えろ。
考えろ。
泣くのはそれからでもいいじゃねえか。 

  • 余談2

 この文章は決して鏡の法則そのものを頭ごなしに否定するわけではありません。実践したい人は実践すりゃいいんです。
 今日の日記の主旨としてはこの文章を読んで泣いたと言う日本全国のA子達に無思考であることの危険性を訴えているだけです。

 「冷血野郎!」とか「アンタには人間らしい感情が無いのッ!」とかの批判は管理人が喜ぶので止めてください。

 だいたいね、コレを読んで泣いたからっつって人間らしいとか私にも暖かい心があるんだなんて思っちゃいけませんよ。「泣かせる話」ってのは結局エンターテインメントの一環でしかないんだから(伝聞話・作り話で泣くのと実体験で泣くのとはまるでレベルの違う話)。それをわかった上で俺は泣かせる話って大好きだけど、こういう胡散臭いのはちょっといただけません、って事。



→もうちょっとだけ続くんじゃよ

*1:若干飛躍的な話の方が「びっくり度」は高い

*2:確かに親子の和解のシーンは良く書けており、ここで泣けるというならまだわかる。ただ、それは鏡の法則の本質ではなく単なる結果の一つである

*3:A子がいかに無思考で、かつ今までどれだけ自分の人生に対してサボっていたか、あるいはこの話自体がどれだけ胡散臭いか