スーパーサイズ・ミー

 

スーパーサイズ・ミー 通常版 [DVD]

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 アメリカで二人の少女がファーストフード店を相手取って裁判を起こした。「私たちが肥満になったのはファーストフードの食べ物が有害だからだ!」と。しかし裁判所側は原告の訴えを棄却。理由は「証拠が不十分だから」。
 そこに目を付けたのが本作の監督。じゃあ朝昼晩の3食、30日間毎日マクドナルドを食べ続けたら人間は一体どうなってしまうのか?というおバカな事を本当にやってしまう実験ドキュメンタリー映画

 つっても中年男がマクドナルドを食べ続けるだけの映画じゃなくて、アメリカのファーストフード・給食などの食事情を垣間見る事が出来て意外と面白かった。観る前は単なるバカ映画だと思ってたけど、良い意味で裏切られたよ。


 以下興味深かったシーン。

アメリカの肥満率は60%を超える。
アメリカのデブはスケールが違いすぎる。アレでよく歩けるな。と思ったら電動イスに乗ってるデブもいて、ここはどこのSF世界かと。
・スーパーサイズのコーラって1800mlだって。飲めるかよ!(でも飲むんだよなアメリカ人)
・あるデブ青年曰く「僕は一日8リットルの炭酸飲料を飲むんですが…」ってそりゃ太るよ。
・とあるマクドナルドにて。超デブがマックを買いに来てデブの店員が接客してた。デブと超デブの蜜あふるる約束の地。…イヤすぎる。
アメリカでは給食でバイキング形式をとっている学校が多く、スナック菓子を昼飯にしている子達もいる。
・マックのキャラクター戦略は幼い頃からマックの味に慣れさせるため。また、モルヒネに近い快楽物質・中毒物質を含む加工食品に、子供の脳は抵抗できない。
・喫煙を非難するのにデブを非難しないのは何故か。共に死に至る習慣なのに。


 面白いのはマック=悪ではなく、あくまでもそれを選択し続ける事が悪習だという監督のスタンス。皆が買うから競争が激化してビッグサイズの商品やおいしいがカロリーの高すぎる商品が出る。逆に買わなければマックも廃れていく。当然監督は裁判の少女達を後押しするためにこの実験をやったわけではなく、「当たり前だけど食べ続けるのはこんなにバカな事だよ」と言いたいだけだろう。アメリカでこの映画が受けた(確かドキュメンタリー映画賞を獲ってる)って事は、つまり映像で見せないとそんな当たり前の事も実感できないレベルまで国民の質が落ちてるって事だ。
 

 それにしてもこの映画を見てると「自分のやりたいようにやって、困ったら短絡的に裁判*1」ってアメリカの悪い体質が浮き彫りになってくるな。この映画で身も心も肥満になった連中が群れなして歩いてる街を見てると、未来の日本や中国を見てるようでうすら寒いよ。


  • 余談

 ショックだった事が一つ。実験後の監督の体脂肪率は当然実験前より急上昇してた(18%だったかな)わけだが、今の自分の体脂肪率がそれを遥かに上回っていたという事。やっぱり「塵も積もれば山となる」というか「日々是精進(精進ッ?)」というか、長年の蓄積に比べりゃたいした事ァないって話ですよハハハ。はあ…もうちょっと痩せよっと。

*1:言い換えるなら短絡的に戦争・闘争