電話についての小話

 今日は電話についてのちょっとイイ話を一つ。

 電話を発明したのはご存知アレキサンダーグラハム・ベル。これは彼が電話を発明したときのお話。


 彼は一旦発明の事に取り掛かると周りがまるで見えなくなるタイプで、妻のヘレンに苦労をかけてばかりいた。しかもそれまでの発明品はまるで当たらず、妻の洋裁の内職でようやく口に糊するだけの極貧生活だった。

 ある時「電気信号で音声を送る」という画期的な理論を思いついた彼は、来る日も来る日も試作と実験を繰り返した。彼はヘレンに実験の助手をさせ、2階にある研究室の機械から妻のいる地下室の機械へ声を送った。しかし実験は難航し、ヘレンは毎日毎日機械の前で夫の声を待つ日々が続いた。

 やがて電話という大発明に取り掛かってから5年が経った。妻は過労で床に伏せる事が多くなり、家計は苦しくなるばかり。それでも彼は研究以外の事は一切やらなかった。

 
 そしてある日の事。ベルはいつものように機械に向かって話しかけた。


「聞こえますか。ヘレン。聞・こ・え・ま・す・か。」


もう一度。


「聞こえますか。ヘレン。聞・こ・え・ま・す・か。」


今日も拡声器から返事は、無い。


「……駄目か…。」ため息が漏れる。


「この発明に取り憑かれて5年…まる5年こればかりやってきたのに未だに実験は成功しない。私は…所詮これまでの才能しか無いのか。……ヘレン、思えばお前には苦労をかけっぱなしだ。研究ばかりで定職につかず、家庭の事もまるで顧みないこんな私にずうっとついてきてくれた。今更、しかもお前に聞こえない所で言っても仕方の無い事だが……すまない…すまない、ヘレン。愛しているよ。」


と、その時


「…私もよ、あなた」


と涙声で拡声器が答えた。


 彼女は機械から本当に声が聞こえたのにびっくりして何も言えなかったという事だったが、それは2人の為には良かった事なのだろう。きっと。



 これが、電話が誕生した瞬間のお話。つまり、電話というのは初めから声と、愛が伝わるように出来ているって事。




 
 いやあ、いい話ですね。








まあ全部嘘だけどな。  (最低)



 というわけで上のお話は真っ赤な嘘でした。誰だよヘレンって。ちょっと雑学ある人なら、電話の最初の言葉は「ワトソン君ちょっと来てくれ」だって知ってるでしょ。


 まあね、コロッと騙された人はその純粋さを忘れないでくださいっつう事で。それにね、全部嘘って言ったけど本当の事が一つだけあります。それは「電話というのは初めから声と、愛が伝わるように出来ている」って事。




という感じでいい人ぶってみたがどうか。