さよならフォークロア

「名前を呼ぶたび深まっていくあなたへの想いこそ 月曜日の呪いなんだ」

さよならフォークロア (IDコミックス 百合姫コミックス)

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 前作「純水アドレッセンス」が評判良かった、かずまこを先生の新刊。面白かったですー。

 舞台は二つの噂がある女子高。一つは「その昔、月曜日に許されない恋に悩んだ女生徒二人が心中した」という噂。もう一つは「その為、月曜日に触れ合うと『彼女たち』に呪われる」という噂。

 ある日、主人公の高瀬は「私を恋人にして」と言う後輩「真白純鳥すみか」に出会う。

 噂に構わず月曜日でもべたべた高瀬に懐く純鳥には、ある目的があった。それは、「恋人のフリをして、この学校から出て行く」というもの。

 「恋人のフリ」のはずなのに高瀬の心は激しく揺れ、その揺らぎはまた純鳥の心にも伝わっていく。

 二人の関係はやがて教師に知られ、呼び出される高瀬と純鳥。そこで高瀬のとった行動は…

 あらすじはそんな具合。

 同性愛物・百合物ってのはタブー感をどこで出すかってのがキモの一つだと思うんですが、それを今回では呪いの噂話*1による禁忌として扱い、タイトルにもある通りそれを乗り越える「想い」を描く事で、二人の恋愛感情の強さを描き出す事に成功しています。


 前作「純水アドレッセンス」でもそうだったのですが、かずま先生は独白の言葉選びやリズムが大変上手く、二人の感情の揺れがすごくわかりやすいです。相変わらずいい仕事してますねえ。ごちそうさまでした。


 次回作も買いで。

  • 過去記事

 →純水アドレッセンス 感想

  • 余談

 さて、ここからはネタバレ御免の感想タイムなので未読の方は回れ右でよろしく。

 読んだ人ならわかると思うのですが、高瀬への想いを胸に秘めつつ友人として接する「あっちゃん」の片想いっぷりがスゲー切ないんですよ。

 するりと高瀬の心に入り込んでしまった純鳥が妬ましくて、彼女にキツめにあたってみたり。ラストシーンで「月曜日の呪いは故意に流された噂だったから触っていいよ」とか言ってみたり。

 あと実は1話21頁でも、落とした教科書を渡す時にさりげなく触ってるんですよね。直前に高瀬に抱きついてきた純鳥への嫉妬はもちろんの事、さりげなく触る→高瀬はおまじないを唱えない→貴女となら呪われてもいいの3段コンボ完成ですよ。もーキュンキュン来てしまいますな。


 あとフォークロア(噂話)の出所の話も良かったです。純鳥の姉と滝沢先生をそういう風に使うとはねえ。伏線が色々繋がってきて読み返すのが面白かったです。こういう所も上手いなあ。