坂道のアポロン 1〜5巻
- 作者: 小玉ユキ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/12/05
- メディア: コミック
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- 作者: 小玉ユキ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/10/10
- メディア: コミック
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ネット上で「面白い」との評判を見て、以前から気になってた漫画。本屋でパラ読みしたらかなり良い匂いがしたのでまとめて購入&一気読み。
結論から言うとスゲー面白かったです。
お話は1966年の日本を舞台にした、高校生達の友情と恋愛を綴った物語。
主人公は成績優秀ながら他人の視線に弱い少年「西見薫」と、ケンカっぱやくて直情的な少年「川渕千太郎」の二人。物語は、彼等二人の出会いと絆の深まりを縦糸に、また彼等それぞれの恋愛模様を横糸に織り成されていきます。
で、何が良いって、主人公二人の友情が深まっていく様子が、もう堪らなく良いんですよ。宮原るり先生の漫画でもそうですけど、人と人の出会いがもたらす関係性や人間性の変化のお話って個人的に凄くツボでして。
転校を繰り返して「他人」に期待をしなくなった冷めた少年である薫が、豪放で粗暴で裏表の無い千太郎に出会って、徐々に体温を取り戻していく様。
周囲から避けられる乱暴者である千太郎が、真っ向から向き合ってくれる薫に出会って、心の奥底に沈めた悩みを昇華していく様。
そうやって、お互いがお互いにとってかけがえの無い存在になっていく過程がとても丁寧に描かれていて、読んでいて頬が緩む事しきり。作者さんは本格的な長編はこの作品が初めての様子ですが、とてもそうは思えないほど丁寧に、わかりやすく描かれています。
また、二人がのめり込んでいる共通の趣味がジャズで、特にセッションという即興的・感覚的なもので二人が結びついているという構造が巧いです。というのも、楽しいときも仲直りする時も、二人の間には音楽という共通言語があって、彼らの感情の機微・起伏を、音楽漫画の持つ高揚感をアンプにして、きっちり読み手に伝えきっているんですよ。これはいい。
だから、「初めて二人が名前を呼び合うシーン*1」も、「二人で坂を駆け下りるシーン*2」も、シンプルな場面ながら物凄くじんとするシーンに仕上がっています。常々ブログ内で言及している通り、単純な場面や台詞に重みを与えられる*3のは、良い作家さんの条件の一つだと思います。
また、もちろん少女漫画だけあって恋愛パートの展開も抜かりなく面白いです。女子キャラでは、そばかす幼馴染の律っちゃんが可愛いです。純情娘、万歳。
とか言いながらこの漫画の恋愛パートで一番可愛いのは千太郎なんですけどね。真っ直ぐで初心い坊やの恋愛はいつ見てもニヤニヤものであります。
そんなわけで初見買いながら大当たりでした。こういう事があるから漫画は楽しい。
無論続刊も買いです。