今、何か面白い漫画ある?


 →いい歳して漫画読んでるなんて、恥ずかしくない?


 匿名ダイアリーにこんな記事が載っててポチポチと漫画好きが反応している様子なので、随分前に下書きのまま放置してあった記事をリライトして上げてみることにしました。ぶっちゃけ楽だし。

 直接的なアンサーではないけれど、自分の漫画に対するスタンスの一端を表していると思いますので。

 ではゴー。




<今回は若干毒含みますので注意>


 「今、何か面白い漫画ある?」


 友達にも会社関係にもブログやってるのはナイショだけど「漫画好き」って事は公言してますので、こんな事を言われるのがままあります。

 で、漫画好きを公言しておきながらアレだけれど、この質問って結構答えに詰まるんですよ。いくら面白いからっていきなり萌え系の漫画を紹介したら引かれるでしょうし、あるいはいきなりドマイナーな漫画を紹介するのもツウぶっててイヤ。そこそこメジャーで誰が読んでも面白そうなものって何だろう?とか考えてるとパパッと答えが出てきません。

 詰まる所、「面白い漫画」は山ほどあるのだけれど、たくさんありすぎて「その人が読んで面白い漫画」を選択するのが難しいのです。だって折角なら漫画を読んで楽しんで欲しいし、「面白かったよ!」って言って欲しいじゃないですか。


 という事で、「質問を質問で返すなァーッ!」と荒木飛呂彦先生に怒られてしまいそうだけれど、最近はこういう質問をしてきた人に対して「じゃあ、どんな漫画が好きなの?」と質問するようにしてます。ある程度性向を理解している人は別として、余り親しくない人に対しては特に。

 で、この質問の反応が大きく分けて二つに分かれます。自分はここで相手がどういう積もりでこの質問をしているか見極めています*1

 まず、真剣に「コレとコレとコレが好きなんだけど、こういう系統で何か無いかな」という人。こちらは本当に面白い漫画を探しているとわかります。

 次に「昔はドラゴンボールとか読んでたんだけど、最近は全然漫画読まなくなったなあ」と言う人。こちらは単純に雑談の一つとして軽い気持ちで話しているとわかります。


 結果、前者にはそのジャンルで面白いと思った漫画を紹介し、後者にはアニメ化・ドラマ化されているメジャー作を紹介します。

 もちろん、確率的に「読んだよー」「面白かったよ!」と言ってくれるのは前者が圧倒的に高く、こういう反応は本当に本当に嬉しい。しかし後者の場合はその後に何らかの返事が帰ってくる事はまずありません。


 そもそも、本来は初対面あるいは余り親しくない間柄で、いきなり「何か面白い漫画ない?」って割と失礼な発言だと思うんですよ。もちろん「漫画を沢山読んでいるのだから、きっと誰が読んでも面白い漫画を知ってるんでしょ?」と考えてるんだろうってのはわかります。しかしそれにしたって自分の好きな漫画を無作為にさらすって事は自分の性向をさらけ出すって事ですよ。言い換えればいきなり「お前の内面を見せろ!」って言われてるのと同じです。

 自分が面白いと思う漫画の中には「萌え4コマ」と言われるジャンルもあれば、血生臭いエログロアクションもあれば、オタ知識がないと全く意味がわからない漫画もあるのですから、気軽に呈示するのは余りにリスキー。

 もちろん相手が自分と同じくらいの漫画オタクだったり、そういう漫画に対して偏見や嫌悪感の無い人だったら、そういう所まで踏み込んで話をするのはアリです。

 しかし先ほどの話で言う後者のような、単に雑談として話を振ってくる人は違います。自分と単純に話がしたいという人なら嬉しく思うのですが、酷い場合は漫画オタクに対して明らかに興味本位でニヤニヤと笑いながら質問してくる人もいます。そんな人にいちいちまともに答えてやる必要は毛ほども御座いません。どんなに面白い漫画について熱く語って紹介した所で決して読みはしないのですから、せいぜい公共電波に乗ってる漫画を紹介して「あー、あれTVでやったよね」とか話してお茶を濁すに限ります。こういう時に一番いけないのは「今や漫画は日本が世界に誇る文化だよ!」なんてのたまっちゃう事。せいぜい「プッ…ナニ必死になってんのこの人。キモッ!」と思われてネタにされるのがオチです。


 「誰が読んでも面白い漫画」が存在しないのと同様、「漫画を楽しめない人」は確実に存在します。「文学に比べれば漫画なんてくだらない」「映画は素晴らしい総合芸術だ」という人もいます。それはその人の性向なので、自分はそれを否定しません。趣味について言えば「誰かが絶対的に正しい」ではなく、「皆が皆、それなりに正しい」のですから。

 ただ、悪いのはそれを他人に、しかもあえて漫画好きの前で「漫画なんてくだらないね」という態度を取ってしまう/言ってしまう事。確かに、自分もプロ野球やサッカー観戦の何処が面白いのか未だに理解できません。でもプロ野球が大好きな人から話を振られたときは、ちゃんと「ごめん、自分は野球の話わからないんだ」と言います。間違っても「野球ゥ?あんなの見て何が面白いの?」とは言いません。

 人それぞれ趣味が違うのは当たり前。だから、そんな当たり前の事も知らない人間が偉ッそうに「キミ、いい歳して漫画好きなの?」などと珍獣を見るような目で近づいて来るのは本当に吐き気がします。その人がどんな高尚な趣味を持っていても、どんなに社会的地位が高くても、人を見下す事に躍起になっている時点でその性根は腐っていると判断して良いでしょう。

 その人にとっては一笑に付すような事でも、こっちは楽しんで真剣にやってるんです。そちらだって自分が大切にしているものを軽々しく扱われたりしたら怒るでしょう?そんな事もわからない失礼な人間には、虚礼でもって返すしかないじゃないですか。本当なら髪の毛ひっつかんで頭突き一発くらわしてから正座させて小一時間説教してやりたい所なんですけどね。


 とまあ、現実世界では人間関係とか色々あってお茶を濁す事しか出来ないので、ブログで吐き出してみました。

 いい年ぶっこいて漫画好きなんて公言してるとね、色々面倒なんですよホント。

 かといって公言せずに隠すなんて失礼な事を、自分が大好きな漫画という媒体に対して出来るはずもないしなあ。


 

*1:我ながらイヤな性格