漫画ナツ100(2008) 「書を探しに 町へ出よう!」
*集計用リストはこちら。一覧だけ見たい人もこちらをどうぞ。
いつも見てくれている人、こんにちは。初めての人、はじめまして。今日はだんげさん主催の「漫画ナツ100」記事です。
一応書いておきますと、企画主は「酔拳の王 だんげの方」さん。文庫の「夏の100冊」にあやかって始められたというこの企画、毎年ルールが変わっていて選ぶ方も毎回新鮮に取り組めます。→企画ページはこちら。
というわけでやっとこさ出来ました漫画ナツ100今年版。昨日更新が出来なかったのも日がな一日こちらの選定をしていた為。
そりゃあ10巻以内完結作品を挙げるだけだったらそんなに時間もかからないだろうけど、折角だからイベントを目一杯楽しみたいじゃない。なので昨年同様自分ルールを追加した上に全作品コメント付きです。うっはあ暑苦しい。
さて、今年の公式レギュレーションはこちら。
・10巻以内で完結している漫画を100上げてください。
・最低ラインは30です。
実にシンプルです。
で、自分ルールはこちら。
・A5判限定。新装版が別判型でも、A5判での出版履歴があれば良しとする。ぶっちゃけウチにあるのがA5判だったらそれで良し。
・1作者2作品まで。
・当然自分所有の漫画で。
あれ?前回「1作者1作品」って言ってなかったっけ?
シャラップ!ゲラウ!アイラブユー!(アイラブユー?)
えー、というわけで最初は1作者1作品だったのですが、選び切れなくて2作品に増やしました。A5判で「完結作品」って枠が今から思えば結構きつかった。
かといってオススメするほどのものでもないのを出すのも本末転倒。仕方なく縛り緩くしました。
ちなみにA5判限定にした理由は「漫画喫茶に行っても比較的数が少ない」「愛蔵版でもない限り一般的に知名度が低い漫画が多い」「単価が高い=発行部数が少ない」といった理由から、ごく普通の漫画好きにとってあまり接点がないと判断した為です。A5単行本って4コマかマニア向けってイメージがあるんですよね。でもそれじゃあもったいない。A5判にも面白い漫画がたくさんたくさんあるんですから。
あともう一つの理由としては古書店で割と安価に入手しやすい事。知名度が低くて売れないせいか、100円棚に結構良作が並んでます。ただ、流石にめぞん一刻の完全版が100円棚に揃ってた時は店員に説教したくなりましたが。
さて、今回のコンセプトは「書を捨てよ 町へ出よう」ならぬ、「書を探しに 町へ出よう」です。ネットに頼るのも良いですが、たまには敢えて古本屋や本屋でお目当ての本を探すのもまた楽しいものです。
貴方のアンテナにピピッと来た作品があったらチョチョイとメモして財布に忍ばせておいて頂けると、この記事に費やした十数時間も報われます。
それではいきましょう。順番は作者の名前順敬称略。長文読む覚悟できた人からゴーです。
漫画ナツ100(2008) 10巻以内完結漫画編
・サルまん(相原コージ/竹熊健太郎) 全2巻
サルでも描ける漫画教室略してサルまん。漫画界でのし上がろうとする二人が織り成す抱腹絶倒の試行錯誤。漫画好きなら読んで損なし。
・かしましハウス(秋月りす) 全8巻
秋月作品はハズレが無いのが凄い。ほのぼの+ちょっぴりシニカルなこの四姉妹物語の裏にも、やはり人の絆の暖かさが流れています。
・14(ジューシー) (亜桜まる/朝田光) 全2巻
中学の女子マネージャー達の日常を描いた学園コメディ。ああんもう可愛い可愛い可愛い!亜桜先生の描く女の子って何でこんなにキャッチーなんでしょう。誰か一人くれませんかね。
・なつのロケット(あさりよしとお) 全1巻
小学生が自由研究でロケットを作る話。友達との企み・協力・衝突・そして目標の実現。かけがえのない少年時代の夏を閉じ込めた、大人の為の正しい少年漫画です。
(→過去記事)
・HAL-はいぱああかでみっくらぼ-(あさりよしとお) 全2巻(新装版はB6判全1巻)
(←新装版)
いわば「裏まんがサイエンス」とも言える、デタラメ科学が飛び交う洒落の効いたコメディ漫画。「まんがサイエンス」で勉強してから読むと一層面白い。<余談>ちなみに同系の短編「がんまサイエンス」は単行本「中空知防衛軍」に収録。
・あずまんが大王(あずまきよひこ) 全4巻
女の子達の日常を描いたコメディ漫画。キャラ的にもネタ的にも高水準でまとまった傑作。個人的にはよみと榊さんと神楽が好きです。
・×−ペケ−(新井理恵) 全7巻
少女漫画風の絵にも関わらずブラックなネタがポンポン飛び出す4コマ漫画。死ぬほど笑わせて頂きました。
・死刑執行中脱獄進行中(荒木飛呂彦) 全1巻
ジョジョももちろん面白いんだけど、荒木先生は短編の手腕も素晴らしい。4部の吉良が主人公の短編「デッドマンズQ」も収録。
・監督不行届(安野モヨコ) 全1巻
アンノ夫婦(庵野秀明・安野モヨコ)の特濃オタライフを描いたエッセイ漫画。安野先生の描く監督が可愛すぎます。やっぱり愛だねえ。
・カボチャの冒険(五十嵐大介) 全1巻
五十嵐先生の飼い猫「カボチャ」がマイペースに暴れまわる猫エッセイ漫画。活き活きと描かれたカボチャの愛らしさはもちろん、振り回される五十嵐先生がまた可愛い。
(→過去記事)
・そらトびタマシイ(五十嵐大介) 全1巻
五十嵐作品の中で個人的ベスト1。生命感あふれる筆致で描かれた多彩な物語群は、読者を極上の漫画世界へ誘う。妖怪・伝奇物が好きな人は必読の名著。
・私という猫(イシデ電) 全1巻
もし私が猫だったら、という仮定の下に始まる野良猫達の物語。ドラマチックな猫の生態の裏側に人間世界がうっすら透けて見える良作。
(→過去記事)
・機神幻想ルーンマスカー(出渕裕) 1巻まで
ありえないとは思うけど、一応再開を期待して挙げときます。ファンタジー世界を舞台に出渕先生のメカが活躍する戦記物。初めてスレイプニルを見た時の鳥肌は今でも忘れない。
・わさび(一條裕子) 全4巻
綺麗な筆致で脱力系の日常ギャグを描いた作品。当時は非常に新鮮で「こんな描き方があるのか!」と驚きながら笑ってました。
・ベル☆スタア強盗団(伊藤明弘) 全3巻(新装版はB6判で全3巻予定)
(←新装版)
西部劇!ガンアクション!そしてちょっとエロ!オトコノコが好きな物を詰め込んだ素晴らしき娯楽作。丁度B6新装版が刊行中なので今買う人はそちらをどうぞ。
・寄生獣 完全版(岩明均) 全8巻(旧版では全10巻)
(←旧版)
グロ耐性が少しでもあるなら即読みを勧める名作。人間に寄生する怪物との戦いを通じて描かれる人間賛歌。個人的には田村編のラストで涙腺崩壊します。
・骨の音(岩明均) 全1巻(旧版はB6判で全1巻)
岩明均先生の初期短編集。物語の完成度は「寄生獣」以降に及ばないが、心臓を鷲掴みにするような荒々しく強力な引力がある。
・LAMPO(上山徹郎) 全4巻
以前「電人ファウスト」を紹介した上山先生のバトルアクション物。格闘とメカの描写のセンスがずば抜けている。サイボーグ好きは必読。
・しあわせももりんご(うさくん) 全2巻
並外れたエロ妄想力を持った中学生を描いたちょいエロコメディ。主人公を始めエロ本や下着の為に日々ヒートアップする登場人物達が面白くも熱すぎる。うさくん恐るべし。
・UNDER THE GUNDAM(うしだゆうじ) 全1巻 (新装版はB6判)
(←新装版)
模型情報に連載されていたガンダム漫画。Gガンダムよりはるか昔に描かれた熱血主人公が実に清清しい。ちなみに単行本と連載時でラストが違う。
・METAL BOX(うすね正俊) 全1巻
「砂ぼうず」のうすね正俊先生の初期短編集。これに収録されてるZとうちゃんシリーズが大好きでして。マッドマックス世界にファミリーコメディを融合させるという発想が凄い。
・よにんぐらし(宇仁田ゆみ) 全4巻
とある夫婦と子供が二人。4人家族の毎日は忙しくて騒々しくて大変で暖かい。家族っていいよねえ、としみじみ思える良作です。
(→過去記事)
・めもり星人(海野螢) 全1巻
全知の少女「みーむ」を狂言回しに描かれる、切なくも暖かい4編の物語。透明感のある中に静かな熱を感じるこの漫画は、自分には中島みゆきの「誕生」の一節を思い出させる。「
・男爵校長(OYSTER) 全2巻
女子高生達の日常を描いた4コマコメディ。シンプルな線で描かれたキャラ達が可愛いのはもちろん、時折ちょっと良い話が混ざるのが良い。現在は続編「男爵校長DS」が連載中。
・気分はもう戦争(大友克洋/矢作俊彦) 全1巻(新装版はB5判で全1巻)
(←新装版)
現代に起こった戦争に自分から飛び込んでいく青年達を描いた架空戦記物。ユーモアに富んだ台詞回しと展開が最後まで飽きさせません。<余談>続編
「気分はもう戦争2.1」に合わせた真っ赤な表紙の新装版が角川から出てますが、折角なら高荷義之画伯が表紙絵を描いているアクションコミックス版を探すのがミリオタとしてジャスティス。そうだろ?ブラザー。
・童夢(大友克洋) 全1巻
サイキックアクション漫画の原点にして原典。面白いという客観的証拠は「初版が1983年、自分が持っているのが1997年の第50刷」という1点。それ以上に言及するのは野暮というもの。是非自分の目で確かめてみて下さい。
・プー一族(大橋ツヨシ) 全4巻
無職の若者達を描いた4コマコメディ。ごくたまに折り込まれる「はみだし者達が寄りそう暖かさ」を描いた話に、不覚にも鼻の奥がつんとする。
・遺伝子レベル剣(おおひなたごう) 全1巻
おおひなたごう先生独特のセンスで繰り出される縦横無尽なギャグにはいつも感心しながら笑ってしまう。頭の中を覗いてみたい作家さんの一人です。
・リバーズ・エッジ(岡崎京子) 全1巻
何回もあげてるけど、今回も。ストレスフルな日々を送る若者達の物語は、刺す様に痛くてほんの少しだけ暖かい。沁みる名作です。
・歯車競争(長田裕幸) 全1巻
連載物はなかなかうまく行かない(コラ!)長田先生の短編集。ハッタリの効いた絵で描かれるユーモラスな「ちょっと良い話」は、軽妙洒脱にして地に足がついた面白さがあります。
・拡散(小田ひで次) 全2巻
年1回連載というアフタヌーンの伝説的漫画。大気中に「拡散」する病気を患った少年が彷徨の末に行き着く先とは?設定・世界観とも唯一無二のSF作品。
・昭和金物屋物語(御茶漬海苔) 全1巻
作者自身の自伝。この人はホラー漫画の印象が強いので相変わらず人物はどこと無く気持ち悪いのですが、お話自体は沁みる良い話でした。この人こういうのも描けるんだなあ、と素直に感心。
・えんまちゃん(かがみふみを) 全1巻
[rakuten:book:12052017:image]
閻魔大王の娘と人間の友達を描いた微百合コメディ。かがみ先生の描く女の子はコロコロして本当に可愛い。ぎゅっとしたくなる衝動にかられます。
・超伝脳パラタクシス(駕籠真太郎) 全1巻
巨大な人型の生体機械を使う近未来を描いた物語。生理的に気持ち悪い話なのに先が知りたくてつい読んでしまう。グロ描写があるので弱い人は注意。
・ヴァイスの空(カサハラテツロー/あさりよしとお) 全1巻
すごいコンビで描かれたSF冒険譚。何せこの二人ですからメカやガジェットの描写を眺めてるだけで楽しい。物語的にも1巻で綺麗にまとまってる良作。
・原子水母(唐沢なをき/唐沢俊一) 全1巻(原子水母2は「ぶんかの花園」として刊行)
残酷で低俗で下らなくて面白い、唐沢兄弟漫画の詰め合わせ。これが読めれば他の唐沢作品もイケます。多分。
・KAZE 愛蔵版(神崎正臣) 全4巻(旧版は11巻未完)
戦国時代を舞台にしたバトルアクション物。「キャプテン」休刊と同時に連載が止まっていたが、完全版で最後まで描かれた。半分忘れていた伏線を回収してくれたラストの展開が好き。
・傷だらけの天使たち(喜国雅彦) 全3巻
喜国先生お得意の下ネタコメディの原点。個人的にはこの頃のキレが一番好き。笑ったなあ。
・少女・ネム 愛蔵版 (木崎ひろすけ/カリブ・マーレイ) 全1巻
登場人物は全て猫型獣人。漫画家を目指す少女・ネムの物語。作者夭折の為未完ですが、透明感のある筆致と、丁寧に描かれた少女の成長物語は今読んでも全く色褪せていません。
・水中騎士(アクアナイト) (木城ゆきと) 全3巻
銃夢後に連載された騎士バトルアクション。後半からぐいぐい面白くなってきたんだけど、いかんせんその面白さが敵キャラ「アルカンタラ卿」の濃さによるものだったのが残念。完全に主役食ってました。銃夢でいうノヴァ教授と同じですね。
・番線−本にまつわるエトセトラ−(久世番子) 全1巻
本好き本屋好きなら必読の「本にまつわるエッセイ本」。本という媒体そのものに「萌え」を感じる手遅れさんなら共感する事請け合いの素晴らしい内容。
(→過去記事)
・セクシーボイスアンドロボ(黒田硫黄) 2巻まで
再開祈願を込めて挙げます。色々な声色を使い分ける少女ニコが裏社会を覗く物語。読者をぐいぐいと引きずり込むストーリーテリングの巧さは黒田漫画の真骨頂。是非再開を!
・大王(黒田硫黄) 全1巻
これに収録の「メトロポリス」が大好きでして。手塚治虫先生のメトロポリスを大胆に翻案した、いわば黒田式終末世界観。「そんな事より野球だ!」と言うミッチィが痛快でたまらない。
・夕凪の街 桜の国 (こうの史代) 全1巻
8月になるとこの漫画の事を思い出す。原爆の被爆者家族を当時から現代に至るまで描いた余りに痛い物語。日本人ならこれを読んで是非何かを感じて欲しい。
・ふたりごと自由帳 (小坂俊二/重野なおき) 全1巻
青年期の男女たちの心情を描いた短編集。読んでて思い当たる事が多すぎるのは作者二人の鋭い観察眼によるものか。ゆっくりと心に沁みこんでくる良作。
(→過去記事)
・ソーダ屋のソーダさん(湖西晶) 全1巻
孤島を舞台にした感動系4コマ。「かみさまのいうとおり!」で下ネタ4コマの人と思いこんでいましたが、こんな芸風を隠し持っていたとは!所謂「泣きゲー」的なドラマチックで暖かいシナリオに不覚にもじんと来ました。
(→過去記事)
・はれた日は学校をやすんで(西原理恵子) 全1巻
(←文庫版)
多感な時期の少年少女の心情を丁寧に描いた超名作。何度読んでも泣いてしまう。これは若い人にこそ読んで欲しい。そして本棚の片隅にずっと置いておいて欲しい。きっと読み返す度に鮮烈に「あの頃」の事を思い出せますから。
・ゆんぼくん(西原理恵子) 全5巻(再編集版の「ものがたりゆんぼくん」は全2巻)
(←ものがたりゆんぼくん)
「ゆんぼくん」という一人の少年の成長を軸に母子の絆を描いた4コマ漫画。ブラックな笑いの底に流れる世界の残酷と無常と暖かさ。ラストはひたすら泣けます。
・それでいい(佐藤久文) 全2巻
良質な「ちょっといい話」の連作。1本毎が8Pと短いので寝る前にちょっとずつ読む、なんて事も出来る。
・ゆずりは!(佐藤両々) 全1巻
佐藤両々先生の完結巻がこれしか無い。保育園の保母さんを描いた4コマコメディ。ギャグのキレが良く、しっかり笑えます。その上親子の絆も丁寧に描かれていて暖かい。
・阿佐谷腐れ酢学園(SABE) 全2巻(2巻は「エマニエル編」という副題がついています)
SABE先生の漫画って何て表現したら良いんだろう…。エログロナンセンス?とにかくギャグ漫画なのですが、色々と救いが無い変態てんこもりの内容。面白いんだけど、読む人を選ぶだろうなあ。クレイジーさを笑えるかどうかが分水嶺。
・セガのゲームは世界いちぃぃぃ!(サムシング吉松) 全3巻
通称「セゲいち」。不遇の家庭用ハード達を作ってきた(オイ)セガ愛溢れる名著。擬人化されたハード達によるゲームネタのギャグが飛び交う、ここはまさにセガマニアの約束の地。メガドラ最終形態でアダプター3個とか32ビット級とかの単語にビビッと来る人は是非。
・みんなはどう?メガキューブ(G=ヒコロウ) 全1巻
正直言ってG=ヒコロウ先生の漫画はどれを買っても一緒。だがハイテンションなギャグをハイセンスな絵柄で出力した作風はハマる人にはたまらない。
・家政婦が黙殺(篠房六郎) 全1巻
予想の斜め上からモーニングスターでぶん殴られるような篠房式躁鬱コメディの名著。美少女にバイブの被り物を被せたりオッサンの魔法少女が現れたり。フリーダム過ぎる発想力に脱帽。
・ガレキの翔(島本和彦) 全1巻(新装版はB6判全1巻)
(←新装版)
ガレージキット製作に命をかける男を描いた熱血コメディ。しかしその裏側には全ての「つくるひと」へのエールが込められている。いわばガレキ版の「燃えよペン」。
・逆境ナイン(島本和彦) 愛蔵版で全4巻(新装版でB6判全6巻)
(←新装版)
超熱血野球ギャグ漫画。熱血をギャグにまで昇華するのが島本先生の作風。ただし笑った後に尚、心に熱い物を残していくのが良い。最近はギャグテイストにするのは作者の膨大な熱量故の照れ隠しなんじゃないかなー、なんて思います。
・ドミニオン(士郎正宗) 全1巻
思えばコレが士郎正宗ファーストインパクト。圧倒的なセンスで描かれた近未来世界とウイットに富んだ台詞回し。一発でやられました。
・G組のG(真右衛門) 全5巻
学園コメディ4コマ。穴根田ニョル男というネーミングセンスに端的に表れる、新右衛門先生独特の感覚が斜め上過ぎる。読む人を選びますが、ハマると大変です。
・虎星☆来々(高津ケイタ) 全1巻
獣人の女の子達が主人公のカンフーアクション+コメディ。虎星(フーシン)と猫星(マオシン)はケモナー必読の可愛さ。そのうえ猫星の百合描写もスパイスになってます。
(→過去記事)
・乙女ケーキ(タカハシマコ) 全1巻
丁寧で繊細で残酷で暖かい百合物短編集。自己愛、自己防衛、思い込み…色んなものにデコレーションされた、ケーキのような同性への恋愛感情。「これは食べても良いんだろうか」なんて悩みつつも、やっぱり女の子は甘い物をやめられないのであります。
・高橋留美子傑作集 赤い花束(高橋留美子) 全1巻
高橋留美子先生の短編集はどれもオススメ。ユーモアたっぷりの台詞回しの向こう側には、常に人の絆の暖かさがあります。
・人魚の傷/人魚の森(高橋留美子) 全2巻(「夜叉の瞳」を含めると3冊。ただしこちらはA5判がない)
不死の男女を軸に綴られる人間の愚かさ・哀しさ・そしてそれ故の愛おしさ。現在ではB6判の方が手に入れやすいが、美麗口絵が付いているのでA5判の方がオススメ。
・安部窪教授の理不尽な講義(滝沢聖峰) 1巻まで
戦記ものが多い滝沢先生が珍しく描いた現代物がこちら。大学の研究室を舞台に、超常現象をパワフルに解決していく安部窪教授と振り回される研究生を描いた快作。どこかトボけた味わいがあって非常にツボです。再開を希望します。
・WHO FIGITER(滝沢聖峰) 全1巻
二次大戦時に現れたUFOを描いた表題作と、コンラッド「闇の奥」をベースにした戦場ドラマ「HEART OF DARKNESS」を収録。2編とも物語の面白さに満ちています。
・昆虫物語 -ピースケの冒険-(田中圭一) 全1巻
週間少年サンデーに連載されていた昆虫ギャグ。ただしどう見ても昆虫の着ぐるみを着た連中が下ネタを繰り出しているだけ。田中圭一先生の漫画はあまりの下らなさについ笑ってしまう。「すげえぜ!」
・孤独のグルメ(谷口ジロー/久住昌之) 全1巻
恥ずかしながら新装版で初めて読みました。面白い。「独りメシ」の寂しさと豊かさを高らかに謳い上げる名作。多い少ないの違いはあれ、一人で外食する時には必ず幾ばくかの「五郎」が皆の心の中にいます。
・マリアナ伝説(田丸浩史/ゆうきまさみ) 全3巻
シンクロナイズドスイミングをやりたい水球部員の話。いつもながら最高に下らない(褒め言葉)ので死ぬほど笑えます。水っ球さん登場シーンでは痙攣したわ。
・スペースアルプス伝説(田丸浩史) 全1巻
毎回挙げてる気がしますが今回も。高校の登山部が舞台のドタバタギャグ漫画。この時寺田克也画伯が描く美麗な表紙絵に騙されなければ、田丸作品にハマらなかったかも知れません。
・おもいでエマノン (鶴田謙二) 全1巻
梶尾真治氏著のSF小説の金字塔(らしい)を、鶴田謙二先生が漫画化。旅路で出会った煙草をふかす美少女は実は…、というお話。一分の隙も無い恐ろしい完成度に圧倒されました。
(→過去記事)
・SPIRIT OF WONDER(鶴田謙二) 全1巻
鶴田節全開のSF短編集。今で言うなら「水惑星年代記」が一番雰囲気近いですかね。チャイナさんシリーズが載ってるのもこちらです。チャイナさん可愛いよチャイナさん。
・文車館来訪記(冬目景) 全1巻
過去を写す事が出来る生き人形がいる町の写真屋「文車写真館」。そこには過去を求めて色々な「つくも神」達がやってくる。大正〜昭和初期を舞台にした美麗な(ほぼ)オールカラーコミック。冬目先生の描く和服女子は本当に良い。一番のお気に入りは蝙蝠傘娘。
・唄う骨(戸田誠二) 全1巻
童話をベースにした連作。残酷ながらもちょっといい話が多く、読み応えがある。特にシンデレラは出色の出来。
(→過去記事)
・大合作 (トニーたけざき 他多数) 全1巻
アフタヌーンの連載作家総出で合作をするという無謀かつファンタスティックな企画によって生まれた傑作。10年くらい前にアフタ購読してた人は懐かしさに狂い悶える事必至。おまけコーナーでは沙村広明先生の描いた星乃スミレとか熊倉隆敏先生の描いたEDENのカチュア(グロ注意)とかが見れます。
・アンダーカレント (豊田徹也) 全1巻
突然失踪した夫を探す女性を主人公に、人の絆について丁寧に描いた物語。読後に余韻がじわりと沁みこんでくる作品です。ただの「いい話」じゃないのが良い。
(→過去記事)
・ラヂオヘッド(内藤曜ノ介) 1巻まで
大友克洋先生っぽい絵で描かれた超能力探偵物。コメディ部分も巧くて凄く面白かったのに連載休止中。再開を熱望します。
・じみへん(中崎タツヤ) 全6巻
地味で変な漫画、略してじみへん。中崎タツヤ先生は本当に絵が汚いし下品な描写が多いのだけれど、笑い飛ばした後に自分の中にその「変」を見つけてしまって狼狽するから困る。完全に術中に嵌ってますね。
・王様はロバ(なにわ小吉) 全7巻
ジャンプに連載されていたギャグ漫画。結構好きだったんだけど割と短命に終わっちゃいました。この人の発想も独特で面白い。更にそこからどんどん話を広げていく想像力が凄い。
・あぶない!図書委員長(西川魯介) 全1巻
眼鏡ゴッド西川魯介先生の眼鏡委員長漫画。溢れ出る眼鏡愛を堪能した後には「はいぼく氏」の解説を読むべし。はっきり言って心底感動した。あ、ちなみにちょいエロ注意。
・課長バカ一代(野中英次) 全7巻(新装版は少年コミックサイズで全3巻)
(←新装版)
「クロマティ高校」の前身。ノリは全く変わりませんのでクロ高好きなら是非。野中先生は本当に「間の取り方」が巧くて、それがギャグの破壊力を最大限に高めています。グッジョブ。
・ホワイトカオス(濱元隆輔) 全2巻
お尻から悪魔の羽が生えちゃった女の子のドタバタコメディ。影を濃い目に描く独特の絵が好き。投げっぱなし感あふれるギャグのキレも素晴らしい。
・進め!聖学電脳研究部(平野耕太) 全1巻
ヒラコー式超ハイテンションゲームコメディ。ある程度ゲーム好きでないとわからないネタが多いが、わかる人には抱腹絶倒の凶器となる。ツボを心得てますなあ。
・帝都物語(藤原カムイ/荒俣宏) 全1巻
荒俣宏先生原作の伝奇アクション大作。藤原カムイ先生の絵が作品の退廃的な雰囲気にぴったり合っていて、物語に没入できます。
・ライチ☆光クラブ(古屋兎丸/東京グランギニョル) 全1巻
少年期特有の全能感に任せて「ある計画」を遂行する美しき少年達。彼らが造ったロボと美少女の出会いは、その計画を残酷な結末へと導く。
・ヤマタイカ(星野之宣) 全6巻(新装版は全5巻)
(←新装版)
前回のナツ100でも挙げた邪馬台国のルーツを探る伝奇大作。最近、「ヤマトの火」を含めた新装版が出たので手に入れやすいと思います。
・みらいのあったかカップ(真島悦也) 全1巻
4コマコメディ。母親と死別し、父親と二人で喫茶店を支える女の子「みらい」のお話。父親に片思いするみらいの担任女教師が可愛い事可愛い事。ちとせげっちゅ!でもそうですけど、真島先生は恋する不器用な大人の女性を描かせたら天下一品ですな。
(→過去記事)
・電子遊戯黙示録(マツダ) 全1巻
ゲーム好きな天使と悪魔が巻き起こすドタバタコメディ。マツダ先生のざっくりした絵が好きで好きでたまりません。幼馴染キャラの萌えスペックが無敵過ぎる。
(→過去記事)
・ピンポン(松本大洋) 全5巻
前回は「鉄コン」だったので今回はこちらを。卓球を通じて、切磋琢磨する事の素晴らしさと友情の尊さを描いた非常にアツい不朽の名作。燃えるぜ。
・漢式青春ばくはつ劇場(美川べるの) 全3巻
前回に引き続きナツ100の選に入れました。だって大好きなんだもの。美川先生、どうやったらこんなに破壊力のあるギャグを生み出せるの?
・妹本(むんこ+曙はる) 全1巻
むんこ先生を強烈プッシュしたいのだけれど、完結物がこの短編集だけでした。で、こちらはむんこ先生と曙はる先生の妹をテーマにした作品を集めた物。兄と妹の絆を恋愛方向に振らずに暖かく描いた良作。
(→過去記事)
・ななはん(ももせたまみ) 全2巻
「ななや」という質屋を舞台にした三姉妹の物語。4コマコメディ。ももせ先生の絵ってコロコロしてて可愛いのにちょっとエロいのが良い。
・柴犬(森田まさのり) 全1巻
べしゃり暮らしの習作とも言える「芝犬」収録の短編集。森田先生って結構「泣かせ」のシナリオ巧いよなあ。
・イエス(安彦良和) 全2巻(新装版は全1巻)
(←新装版)
若き弟子ヨシュアの視点でイエス・キリストを描いたオールカラーコミック。絵もストーリーも極上で、心地よく漫画世界に浸れます。
・水の鳥(山田玲司) 全1巻
火の鳥が「生命」をテーマにした物語なら、こちらは「再生」を描いた物語。生まれ変わった積もりで再出発する人達を描いた連作は、試練と再生を描く山田漫画の真髄。沁みます。
(→過去記事)
・でりつま(山名沢湖) 全1巻
団地に住む新妻とその友達を描いたコメディ。絵柄もお話もふわふわした山名節全開で癒されます。<余談>タイトルでエロい事を想像した奴は誰だ!お前は俺か!
・レモネードBOOKS(山名沢湖) 全3巻
本好きの男の子と普通の女の子の初々しいカップルを描いた物語。本マニアの行動に共感しつつ、山名先生独特のほんわかしたラブコメを楽しめます。
・まとちゃん(結城心一) 全1巻
虫愛づる小学生の日常を描いたコメディ。独特の無機質な雰囲気のギャグにマニアックな小ネタを混ぜてくるからたまらない。女の子達も可愛いです。続編はタイトル変更して「ちろちゃん」として連載中。
・PRIVATE OPINION(吉田秋生) 全1巻
ルールに反則気味で申し訳ないが、こちらは名作「BANANA FISH」のスピンオフ作品を集めた別巻。当然本編を読んでからでないと訳がわかりません。逆に本編しか読んでない人にオススメ。登場人物をより深く知る事が出来て面白いです。
・甘えんじゃねえよ!(吉田戦車) 全1巻
吉田戦車先生本人が自作品の中で最強のキャラと言う「みっちゃんのママ」が登場するのがこの漫画。嗜虐性、攻撃性、残虐性を気軽かつ奔放に解放する様が痛快。個人的には「伝染るんです」より好きです。
・一生懸命機械(吉田戦車) 全2巻(新装版はB6判で全1巻)
(←新装版)
「泣ける戦車」と言ってピンと来る人はソウルブラザー。吉田戦車先生って理不尽なギャグを描いているようで、たまに裏側に暖かさとか悲哀を隠している事がある。「一生懸命機械」はその最たるもの。人間と機械の関係を通じて「人間性」を描いた泣けるギャグ漫画です。
・だめよめにっき(私屋カヲル) 全1巻
「だめよめ」とは読者を駄目にする嫁の事です。オットとヨメのラブラブ具合とヨメの可愛さに骨抜きになるフルカラー4コマ漫画。
(→過去記事)
以上きっちり100作品。全部読んでくれた人、大変お疲れ様でした。
集計でランキングを見るのももちろん楽しいんですが、参加者リンクで色んな人のナツ100を見るのが本当に楽しいんですよねこの企画。今から集計が楽しみです。
あ、あとコメント歓迎ですので間違いの指摘やオススメ漫画があったらご遠慮なく書いていってください。よろしくですー。
- 余談
疲れたけど面白かったー!今度は4コマ限定でやってみようかな。自分もここ数年でハマったんですけど、4コマ面白いよ4コマ。昔は「かりあげ君」とか「タブチくん」のイメージしかなかったけど、ストーリー4コマってジャンルがありまして、これが実に読み応えがある。正月休みにでもやろうかなー。
- 08/08/16 0時追記
やっちまった…。
「セガのゲームは世界いちぃぃぃ!」って3巻で完結表示出てませんね。しかも刊行が2007年3月なので「最終発行日から2年以上」でもないのでアウト。
あなたには功夫が足りないわ。
では代わりにこちらを。
・金魚屋古書店出納帳(芳崎せいむ) 全2巻(B6判も全2巻)
漫画なら何でも揃う古書店「金魚屋」を舞台に描かれる漫画にまつわる暖かいエピソード達。劇中に登場する元の漫画を知らなくても充分に楽しめるのは、根底で「好きというエネルギーの素晴らしさ」を描いているからに他ならない。もちろん知ってる漫画が出てきた時は輪をかけて面白い。
>だんげ様
一応集計用も直しておきますが、既に集計後でしたらそのままで結構です。
- 08/08/17追記
表紙出るものはリンク貼りました。出ないものも本の情報として貼っておきます。更に過去に記事書いたものについてはリンク貼りました。べ…別にあんたの為じゃないんだからねっ!嘘ですごめんなさい。どうぞご活用下さい。