ガンパパ島の零戦少女 1巻

「うわあ♡ 飛んだああああ!!」

ガンパパ島の零戦少女 1 (1) (アクションコミックス)

ガンパパ島の零戦少女 1 (1) (アクションコミックス)


 主人公の「朝子」は超がつくお嬢様にして大の零戦好き。今日は執事に用意してもらった零戦で、初めての空へ飛び立とうとしていた。

 本やゲームで勉強したものの、本物の飛行機に乗るのなんかもちろん初めて。ところが朝子が操縦席に座ると、何と零戦が話しかけてきて操縦のアドバイスを始めてくれた!

 「零戦さん」の協力を得て無事大空へ飛び立った朝子は大興奮。その後も基本的な操縦を零戦さんに習いながら存分に空の散歩を楽しむ朝子。


 ところが着陸の段になって滑走路に立ち塞がったのは同級生のケラちゃんことプリンセス・ケララ。朝子と同じく超お嬢様で、何かにつけて朝子をライバル視する彼女は、自分より先に空を飛んだ朝子が許せなかったのだ。

 同じく御付きの男に準備させておいた飛行機に乗り、初フライト早々空戦を仕掛けるケララ

 怒れるプリンセスを乗せて朝子の零戦に迫るその飛行機の名は、アメリカが誇る傑作機―――P−51Dムスタング
 

 ガンパパ島という小さな孤島を舞台に、少女達の戦いが今、始まる!
 

 
 お話はそんな感じ。

 いやーこれはイイですよ。実にイイ。何がいいって、主人公の朝子とライバルのケララが物凄く活き活きと描かれてるのが良い。朝子が空を飛んでる描写は本当に気持ち良さそうだし、ケララムスタングの性能に興奮している様子もいかにもハイテンションなお嬢様らしくて、見てて楽しい。笑ったり怒ったり気持ち悪くなって吐きそうになったり、また笑ったり。可愛い女の子達のくるくる変わる表情を見てると、こっちまで頬が緩んできます。


↓こちらが朝子お嬢様。空と零戦が大好きな明るくて素直な子です。黒バック白文字部分は「零戦さん」の台詞。

 本ッ当に楽しそうに空を飛ぶんですよこの娘。いいわあ。


↓対してこちらがプリンセス・ケララ。自己中ワガママ負けず嫌い。絵に描いたような金髪アメリカンお姫様です。

 この娘のテンションの高さが朝子の良い娘っぷりと対比されてて良い。魅力あるライバルってのは勝負物に不可欠ですな。



 また、次に良い点は飛行機の描写がおっそろしく細かい事。微に入り細に入って描かれた操縦方法を読んでいると、自分も操縦できるような錯覚に陥る程。そして機体そのものの描写も作者の飛行機愛が溢れかえる素晴らしい物。飛行機漫画を描く漫画家さんで、レシプロ機の鋲を一個一個描く人は愛すべき同士と相場が決まっています。そういう「わかってらっしゃる人」が描く空戦場面は、ミリオタに片足の先っちょ突っ込んでる程度の自分にとってすら御馳走以外の何物でもありません。むっはー!


 何で零戦が喋るの?とか何でちゃっかりムスタングが用意してあるの?とか何でセーラー服のまま乗るの?とか細かい疑問は出るかもしれませんが、その辺の説明は一切ありません。つまり細かい事は青空の向こうにぶっ飛ばして、少女達の反応に萌え、飛行機の美しさに萌え、空戦の迫力に燃えれば良い、という事ですよ*1

 細かい事言ってると、人生損しちゃうよ♡(某黒犬騎士団長風に)

 そんなシンプルさが伝わってくる、実に痛快な娯楽作。少女と飛行機が好きな御仁には二重丸でオススメです。


 単純に表紙買いした漫画ですが、コイツは良い拾い物をした。続刊購入大決定であります。



  • ヲタ余談

 ケララの愛機、劇中では「ムスタング」で裏表紙解説では「マスタング」になってますね。読み方の問題ってのはどっちが合ってるとか論ずるのは不毛なので感情論で言うと、自分はマスタング派です。何かそっちの方が音の響きがカッコいいじゃないですか。

 ちなみに「ティーゲル/ティーガー/タイガー」では「タイガー」です。

 ちなみに「ハチハチ」って言うとJu−88と88ミリ砲の両方が思い浮かびます。

 ええ、ドイツ軍の兵器は世界一イイイィィィィ!ですが何か。


 まあ自分が言えるのはその程度。ミリオタとしてはタマネギ剣士レベル1です。世の中には本物さんが沢山見えますからねえ。
 

  • ヲタ余談2

 オビに「朝子、翔んじゃった♡」ってあるんですけど、コレ「朝子飛んじゃう!」の方が良くないですかね。古いですかそうですか。

 お兄さんが何を言ってるかわからない子はわからないままでいいぞ!良い子とお兄さんの約束だ!

 

*1:ちなみに空戦といってもペイント弾を用いた模擬戦。血なまぐさい事はありませんのでご安心を