夜は短し歩けよ乙女 １巻

夜は短し歩けよ乙女 第1集 (角川コミックス・エース 162-2)

　ちょっと不思議な京都の街を舞台にしたラブコメディ。同じクラブに入ってきた可愛い後輩の「乙女」に一目惚れした「先輩」がなんとか彼女に近づこうとするのだが…、というお話。

　おかしな事が起こる京の町の雑然としたファンタジックさはまるで「千と千尋」の異界の町並みのようで中々目に楽しい。また、メインヒロインである「乙女」も可愛らしく描けていて良い。ただ、残念なのはその周囲の人物達や街の雰囲気を描くのに忙しくて、肝心の「乙女」と「先輩」の話がなかなか進まない事。

　魅力的なヒロインと冴えないオトコ、そして一癖も二癖もある脇キャラ達。多分やりたい事は『ファンタジー世界に片足突っ込んだ「めぞん一刻」』なんだろうけど*1、浮ついた印象というか、どうにも違和感がつきまといます。話に背骨が通ってないというか。何の疑問も無くあっちこっちについて行く「乙女」の警戒心の無さも読んでて引っかかる部分で、ともすればちょっとオツムが弱い子にも見えます。いいのかホイホイついていっちまって。

　思うにこちらの漫画、もう少し焦点を絞って描いた方が良いのでは。漫画でこの話を初めて触れる人にはイマイチとっ散らかった印象を与えてしまうような気がします。逆に原作を読んだ人には絵による追体験が出来て面白いのかも知れませんが。自分は原作未読なせいもあり、今ひとつ乗り切れませんでした。

　あと二・三の手数を加えればグッと面白くなりそうなので勿体無い。
　
　２巻は…どうしようかなー。

*1:またアンタはそういう言い方をする…