金魚屋古書店 6巻


「生きていく原動力は いつだって何かが“好き”だという事」

金魚屋古書店 6 (IKKI COMIX)

金魚屋古書店 6 (IKKI COMIX)


 金魚屋第6巻。「出納帳」を通しで数えりゃ8巻目か。すっかり安定した感があり、今巻も面白かったです。

 ではざらっと感想を。読んでない人は回れ右。


・第36話「臨時休業」…地震で崩れた漫画を整理しに来た漫画好き達が、作業の途中に漫画を読みふけってしまうシーン。これは誰もが経験がある事と思う。というかまさに今自分のウチがそういう状態。大掃除って言ったって、大半が漫画の整理なんだからどうしたって「そう」なっちゃうよなあ。片付けては読んで片付けては読んでの繰り返し。ちっとも片付きません。でも幸せ。


・第37話「乙女の謎」…この話に出てきた漫画は読んだ事無いけれど、「幼馴染の二人が付き合い始めて最後には天寿を全うするゲイのカップル」の話って事で、ユニコーンの「人生は上々だ」を思い出した。あっちは所々で浮気してるけど。自分はゲイもレズもよくわからんが、安易に理解した振りをするのは頭から否定するのと同じくらい失礼な行為なんだろうなー、とは最近思うようになった。話を漫画に戻すと、こちらは珍しくダーティーな話でした。個人的にはホストはあのまま生死不明だったラストのほうが良かったなあ(第40話で復活するので)。


・第38話「1/24の記憶」…わー「あどりぶシネ倶楽部」!懐かしいい!ウチにもあったはずなんだけど、どこ行ったかなあ。作中では「人生を決めた漫画」なんて仰々しい言い方してるけど、結局漫画自体はスイッチの一つなんでしょうね。元々吉野さんに「映画の仕事がしたい」って欲求があって、この漫画が最後の一押しをしてくれた、と。


・第39話「本のお医者さん」…ああ、こういう話好きだわー。まんがばか同士の絆と職人の誇り。修復された「最後の世界大戦」を見た時の岡留の笑顔が、その漫画を手に入れた時のそれよりもイイ笑顔なのがこの話のキモだと思います。


・第40話「嗚呼男意気」…つーわけで37話で死んだと思われたホストが女装して復活。わざと2話挟んだのは「少年誌のお約束」をなぞっているんでしょうか。でも出来れば2話続きで描いて欲しかったなあ。


・第41・42話「本が好き」…眼鏡っ娘まんがばか、キンコちゃんが書店員のバイトを始める話。棚差しが好きだって言う夏目さんの気持ち分かるなあ。自分も本棚整理してるときは本当に幸せだもの。
 また、確かに棚の作り方で本屋の良し悪しってだいたい分かる。前にも同じ事書いたけど、たとえ小さい本屋でもコミック担当者の「熱」が伝わってくる棚だと、つい余分に1、2冊漫画買っちゃいます。これホント。逆にいい本屋だったのに棚が荒れてくると「誰か良い書店員が辞めちゃったんだなあ」って思う。
 ちなみに冒頭に書いた台詞はこの話のラストに出てきたもので、この言葉にすごく共感。「好き」が原動力で動いてる人間って、滅多に死にたいなんて考えたりしないんじゃないでしょうか。漫画が好き、映画が好き、本が好き…もちろん辛い事もあるでしょうけど、少なくともその「好きなもの」を味わい尽くさない限り、「死ぬ」なんてとんでもない話。不謹慎に聞こえたら申し訳ないけど、実際オタクの自殺率って低いんじゃないでしょうか。

 
 久しぶりに全話コメントしたら疲れたので今日はこんな所で。しかし2週間近く更新してなかったせいか、文章書くスピードが落ちたなー。この連休でリハビリすっか。