今日のオタクさん
ちょっとだけネタバレ注意。
- 作者: coco
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/09/07
- メディア: コミック
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面白かったですー。
ちゃんとした感想はまた書くとして、今日はこの中の1エピソードだけについて。
それはP.41の一編「いつもの儀式」。この4コマでは失恋した早川さんが髪を切って、最後のコマで笑顔で「さ、本でも読むか」って言うんですよ。で、この早川さんの笑顔が無理してる笑顔でもなんでもなくて、心底楽しそうな顔なの。
これが一番「あるある!」と思ったネタでした。
というのも、実は自分もどこか出かけた後、何かあった後に本屋行く事が多いんですよ。
例えば…
・仕事で大失敗した→帰りに本屋寄って漫画を買う。
・楽しい旅行に行って地元に帰ってきた→帰りに本屋寄って漫画を買う。
・女の子とどこかに出掛けた→帰りに本屋寄って漫画を買う。
・友人の結婚式や葬式に行った→帰りに本屋寄って漫画を買う。
といった具合。
要は嬉しい事悲しい事があると、何となくその後本屋に行ってしまいます。浮かれたり沈んだりした後に「いつもの場所」へ行く事で心のバランスをとろうとしているのかも知れません。「とりあえず一度リセットする」というか。
面白いのは良い事があった時にもそうする、という事。別に良い事があったのだからその余韻にでも浸ってれば良いものを、いちいち本屋に行って漫画買って読んで「いつもの」状態に戻そうとする。
結局は「いつもと違う事」が本能的に嫌なんでしょうね。嬉しいも悲しいも含めて全部「異常」で、漫画を読める状態が「正常」だと。オタクってのは「自分の趣味」というベクトルが恋愛とか仕事に比べて桁違いに長いわけです。もちろん恋愛とか仕事がどうでもいいというわけではないけれど、「趣味」となったらとにかく問答無用で行動してしまう。
だからP.41の早川さんの笑顔は物凄くよくわかる。それは、「何かイベントに出ている」という場所的制約や「友達と旅行に来ている」という時間的制約や「あの人は今どうしてるのかなあ」という精神的制約から解き放たれて、「自分の趣味を満喫できる状態」が確保できた時の笑顔。
言ってしまえばそれは逃避でもあり、せっかく得た実体験の悲しみや喜びを基に色々考える事で学んでいく機会を、自ら潰しているとも言えます。このあたりがオタクのどうしようもない所で、自分の趣味が楽しめているうちは「世はなべて事もなし」と思っているわけです。
本当はそんな事ないのにね。
まあだからっつってリセット出来るものが全く無いと、それはそれで辛いんですが。だからと言ってリセットしまくるのもどうかと。
結局は程々が一番、って事に落ち着くのですけどね。自分は漫画オタクが楽しすぎて最早そこには戻れません。
- 余談
多分こういうので一番多い症例は「TV」じゃないですかね。家に帰ったらTVをつける、朝起きたらTVをつける、食事のときはTVをつける、寝る前にやっとTVを消す…。自分も自分用のTVを買った当初は嬉しくてそんな状態でしたが、すぐに飽きて見たい番組だけ録画して見るようになりました。今では何となくTVを見るという事はほとんどしません。時間がもったいなくて。