暁の歌
- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/02/18
- メディア: コミック
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藤田和日郎2冊目の短編集。収録の4編どれも面白いんだけど、特に「瞬撃の虚空」が大好きでして。当時ヤンサンに藤田漫画が載るって聞いて、買って、読んで、即キタ。
もーこういう話大好き。食卓で静かに終わるラストシーンも1回目読んだ時は違和感あったけど、何度か読み返すと考え得るベストの終わり方だとわかる。
第二次世界大戦当時に米国で立ち上がった、目にも止まらぬ速さで敵を駆逐する近接格闘兵を作る計画――モーメントアタッカー計画。その発端でありモデルデータとなったのは極東の島国の小柄な男だった。
そして現代。モーメントアタッカー計画により無敵の兵士となってしまったレーベンフック少佐は母国に反旗を翻し、核ミサイル基地を占拠する。目的はただ一つ。――彼にとって唯一の敵となり得る存在、オリジナルデータであるサキサカ・ケンジロウと闘う事――
ストーリーはそんな所。主人公サキサカ(当然ジイサマ)が見かけによらずバカ強くてカッコいいんだけど、レーベンフックと彼の2人の超兵士がものすごく寂しく見えるのが良い。強くなりすぎてしまった故の悲哀、いわゆる「異形の悲しさ」がきちんと描かれていて、もろツボ。で、決闘の見届け人として連れて来た自分の孫(絵に描いたような無気力な若者)に向かって、また良い事言うわけですよこのジイサマが。
*下記最重要のセリフなんで反転します。
「いいか淳一…本当に戦うというのは、日々を生きていく事だ。
退屈と戦うことだ。
働き、学ぶ事だ。
(お前の)父さんのように、母さんのように…」
かっこよすぎ。
そう、なんでもない日常を淡々と生きる事――今後も変わらず「日常通り」であるために、今日の日常を確実にこなす事――もまた戦いの一つなのだ。
いや、本当リーマンにとってこれ以上元気の出る言葉はそうそう無いよ。
毎日の生活に疲れてる人に是非読んで欲しい。