『このマンガが凄いから読め!(仮称)γ版・2010』…略して『こすヨメγ2010』


 本日はポンコツ山田.comさまの所で発見いたしました、こちらの企画に乗っかってみようかと思います。


 →『このマンガが凄いから読め!(仮称)γ版・2010』…略して『こすヨメγ2010』


 こちらは「古本屋の戯言・営業日誌」というサイト様が主催の企画で、『"プロが選ぶ2大マンガランキング本"などに対し、じゃあ我々"(ある意味)プロのマンガ読み"である消費者は何を選んだのか』をテーマにした企画との事です。ああ、いいですねえこういうの。だんげさんの所の「漫画ナツ100」といい、この手の企画物は大好きです。

 何度も本ブログ中で言及してますけど、何が楽しいって、趣味の合う人を見つけてその人の感想やレビューを見るのが凄く楽しいんですよ。知ってる漫画の感想に共感したり、知らない漫画を山盛り教えてもらったり、そして結果としてまた漫画の所蔵数が増えて大変な事になったり。


 ちなみに企画の参加縛りは

・選者(=投票資格者):基本的にこの企画に賛同・協力して下さる、最低限複数(年間おおよそ20タイトル以上・1タイトルおおよそ200文字以上の文章)のマンガの紹介・感想を書いているサイト・ブログの運営者で、現在、管理を放棄していない者であり、『〜がすごい』『〜を読め』等の選者(=プロの物書き)ではない事。
(※但し、『〜がすごい』等選者であっても、選者名が"漫研"等の団体名であり、必ずしも自分のランキングが投票した内容に反映されていない場合、これを除く)

で、作品縛りは

・対象作品:基本的に2009年中(12月31日まで)に新刊コミックスが1冊でも発売されたタイトルを対象とします。
("amazon"で発売日チェックは致しますが、基本的に各サイト運営者の良識にお任せ致します。よって、投票時未発売でも、12月31日までに発売予定の表示があればOKです)

 との事です。詳細は当該の企画頁を見ていただくとして、「それなりに漫画の感想・レビューを書いているサイトでないと参加出来ない」というのがまたいいですね。

 あ、ちなみに上げる作品はベスト5まで、との事です。

 自分は「ベスト○○」というと「アレが入ってないじゃん」「コレも入れなきゃ」なんてぐねぐね考え倒す傾向にありますので、印象でパパッと上げていきます。パッと出るって事はそれだけ印象に強く残ってるって事ですからね。


 ではゴー。


第5位 ささめきこと

ささめきこと 2 (MFコミックス アライブシリーズ)

ささめきこと 2 (MFコミックス アライブシリーズ)

 現在5巻まで刊行*1

 アニメ化もされた恐ろしく完成度の高い百合ラブコメです。同性同士の恋、という事で一歩引く向きの方もいらっしゃるかも知れませんが、こんなに真っ当に、丁寧に、そして何より切なく『好き』という感情を描く作品はそうそうあるものじゃございません。

 主人公二人の感情の揺らぎの描写もさることながら、この作品は物語の構成が抜群に巧いです。何気ないシーンでも後で読み返すとちゃんと意味がわかったり深くなったりするので、読み返すのがまた実に面白い。

 登場人物たちが良い娘さんばっかりなのが、また良いです。素直に応援してあげたくなるというか、幸せになってほしいと思えます。

 ラブコメ枠グリグリ大本命。


  • 過去記事

 →ささめきこと 1・2巻 感想

 →ささめきこと 3巻 感想

 →ささめきこと 4巻 感想

 →ささめきこと 5巻 感想



第4位 ヴィンランド・サガ

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンKC)

 現在8巻まで刊行。

 「プラネテス」の幸村誠先生が描くヴァイキング戦記物。

 前作でもそうだったのですが、幸村先生は群像劇が本当に巧い。というか、一応の主人公を決めてあっても、その周辺にいる人たちの内面をきちんと描かないと気が済まないタイプなんでしょう。

 「主人公の影薄い」なんてネットで評されてますが、逆に個々の人物を丁寧に描いている為に、とても血の通った歴史物に仕上がっています。戦略や行動に、ちゃんと彼等それぞれの「スジ」がビシッと通ってるんですよね。

 だから読んでいて面白い。だから燃えるし泣ける。

 この漫画は魅力が巧く伝えられないからもどかしいのですが、とにかく男達の紡ぎだす熱い歴史物語を読みたい人には問答無用でオススメ。


 歴史物枠グリグリ大本命。



第3位 この世界の片隅に

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

 全3巻。ただしこの3冊は、凡百の漫画家がたとえ30巻を費やしても届かない漫画としての完成度を持って、高らかに人間愛を謳い上げています。

 舞台は第二次世界大戦当時の広島。そこに住む「すず」という一人の女性の生涯を軸に、この漫画は「戦争の残酷さ・凄絶さ」と「人と人の絆の儚さ・暖かさ」をコントラスト強く描き出しています。

 作者のこうの史代先生は、キャラ立て、プロット、柔らかい描線、漫画としてのテクニック、我々読者の住む日本が戦敗国である事…その全てを余すところなく駆使し、物語に練りこみ、見事この漫画を「唯一、漫画媒体でなくては表現しえない作品」として成立させる事に成功しています。

 漫画のもつ可能性、そして何よりこうの史代先生の描く物語の緻密さ暖かさに、ぐうの音も出ないほどに打ちのめされる事必至。劇中のクライマックスで主人公が言う「うちも知らんまま死にたかったなあ」という台詞とは真逆に、知らずにおくにはあまりに勿体無い大傑作であります。


 ヒューマニズム漫画枠グリグリ大本命。


 →この世界の片隅に 感想

 *というかやられすぎて感想にすらなってないよコレ…。



第2位 惑星のさみだれ

惑星のさみだれ 8 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ 8 (ヤングキングコミックス)

 現在8巻まで刊行。

 ボーイミーツガール+ご近所SF+バトルファンジーという、カテゴライズしてしまうと、まあありがちな漫画作品ではありますが、そこに「主人公達の心身の成長」「魂や想いの継承」を加え、更に緩急のついた『魅せる』物語展開で、ここまで読者をぐいぐい引き込む作品が他にあるかというと話は別。

 ちょっとハズしたコメディ風味の日常風景と、人死にも出る凄絶な戦いがコントラストとなり、しかもソレが関係の無い物ではなくてちゃんと意味のあるものとして繋がりながら、物語を力強く盛り上げていく様は、まさにアツさのインフレスパイラル。巻を増すごとにキャラ達に感情移入し、巻を増すごとに面白くなっていく、今確実に面白い絶対王道少年漫画です。

 アニメ化されて一層のヒットになる事間違いなしと勝手に想像していますが、現在は物語も終盤に近づき、盛り上がりも最高潮。未読の方には是非、今味わって頂きたい傑作です。そしていずれ最終巻を読み終えた時には、一点の曇りも逡巡も無く、共にあの言葉を言おうではありませんか。「あー面白かった!」と!

 少年漫画枠グリグリ大本命。


  • 過去記事

「惑星のさみだれ」 1〜3巻感想

「惑星のさみだれ」 5巻感想

「惑星のさみだれ」 6巻感想

「惑星のさみだれ」 7巻感想

「惑星のさみだれ」 8巻感想

「惑星のさみだれ」のタイトルの意味




第1位 となりのネネコさん

となりのネネコさん (3) (ウンポコ・コミックス)

となりのネネコさん (3) (ウンポコ・コミックス)

 現在3巻まで刊行。

 「恋愛ラボ」のユイちゃんが可愛い?オーケー、そいつは認めよう*2

 「みそララ」の梨絵ちゃんが可愛い?オーケーオーケー、そいつも認めよう。

 だが宮原るり先生の作品で今最も注目されるべきは、この「となりのネネコさん」であると本日ここに宣言する!


 その為の1位です*3


 こちらの作品では、猫顔のちょっと変わった中学生「ネネコさん」と、彼女に振り回される普通の中学生「山田さん」を軸として、騒々しくも暖かい中学生ライフが丁寧に描かれています。

 詳細は下記感想リンクから読んでいただきたいのですが(オイ)、宮原先生は「人と人との出会い」と「それがもたらす関係性の変化」を描くのが本ッ当に巧いんですよ。

 おまけに「異形*4と人の心の触れ合い」なんて自分にとって大好物な要素を盛り込まれちゃあ、最早たまるもたまらんもあったものじゃございませんよ。たまらんのですが。

 中学生らしい葛藤や悩みや衝突と、その解決、そしてゆっくりと出来ていく絆。そういう描写に泣かされることもしばしばです。

 ハートウォーミング物が好きな人の心に、きっと響く傑作です。是非是非読んで下さいませ。


 あったかコメディ枠グリグリ大本命。

  • 過去記事

 →となりのネネコさん 1.2巻感想

 →となりのネネコさん 3巻 感想



 以上です。

 ○○グリグリ大本命と書いてますが、別に「こすヨメ」のランキング予想ではありません。自分の脳内ジャンル別レースで最有力候補、つまりとても面白いから是非とも読んでみんさい、という意味です。


 年明けの集計が楽しみです。いやあ、漫画って本当に良いものですね。




 あ、ちなみに好みが近いなー、と思った方は以下の記事↓もどうぞ。

  • 関連過去記事

漫画ナツ100(2009)

漫画ナツ100(2008)

漫画ナツ100(2007)

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*1:最新刊の表示でないのは、2巻の表紙が好き過ぎる為。構図と二人の距離感がディモールト・ベネな一枚で御座います

*2:俺はサヨ派だけどな

*3:立木文彦の声で

*4:ネネコさん