花やしきの住人たち 2巻
<2巻ネタバレ含みます。サラで読みたい人は注意>
花やしきの住人たち (2) (角川コミックス・エース 121-8)
- 作者: 桂明日香
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/26
- メディア: コミック
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これも1巻の感想書いてなかったですか。
お話は、高校の女子寮に入った男子高校生の管理人と、その女子達との衝突と交流を描いた学園ラブコメディ。
1巻のおさらいをしつつ、あらすじを兼ねた登場人物紹介でも。
安芸桜…男子高校生兼、通称「花やしき」といわれる女子寮の管理人。あやめに密かに好意を寄せる。
北広れんげ…花やしきの住人。栗毛長髪で元気で食いしん坊な女子高生。猪突猛進型。出会ったその日に桜に告白してしまう。
恵庭あやめ…れんげの親友。同じく花やしきの住人。黒髪ショートで落ち着いた女子高生。人当たりは良いが、どこか陰のある美女。れんげの事が友達として以上に好き。
恵庭杜若…あやめの双子の弟。女装趣味があり、たまにあやめと入れ替わって学園に通っている。
基本は「桜→あやめ→れんげ→桜」のループ型三角関係で、そこに杜若や個性的な住人達が花を添える学園コメディ……でした。1巻までは。
でも2巻を読んだら…
うわあああああああああ!なにこの鬱展開!急転直下にも程がある!
1巻とのあまりの雰囲気のギャップに思わず通しで読み返しちゃいましたよ。そりゃあね、確かに1巻からあやめが過去に何かあった匂いはありましたけどね、それがまさかここまで一気呵成にかつここまで容赦ない描写で描かれるとは!
いやー、息を呑むってのはこの事ですな。歪な家庭の犠牲となって壊れていく姉弟の姿が余りにも哀しくて読むのが息苦しい程。あやめ+杜若の過去、凄まじすぎです。
個人的に一番辛かったのがこちらのコマ。
中学生時代のあやめが自分の足を刺して笑ってるシーン。この前にも色々とショッキングな場面はあるのですが、それらを経てここに至ると「ああ、とうとう壊れてしまった」と胸が苦しくなります。同時に女の子にこんな笑い方をさせる元凶となったあやめの両親への憤りも感じます。
そして、一番良かったのがその後の展開。ぐちゃぐちゃに壊れて凍り付いてしまったあやめの心を、れんげの真っ直ぐな想いが一瞬で溶かしてしまう場面。例によってあえて引用しませんが、このシーンのあやめとれんげの笑顔がもう眩しくて眩しくて。おっちゃん目を細めてしまいましたよ。ああ、そうだよ。女の子に似合うのは、こういう笑顔なんだよ。
最悪に哀しい笑顔の後で最高に眩しい笑顔を魅せるという、実に素晴らしい構成であります。巧いなあ。
さて次に三角関係の進展についてですが、2巻ではあやめが桜に惹かれ始めている様子も見て取れますし、桜を頂点にした通常の(?)三角関係にシフトしそうな流れ。しかしそこであやめにとってブレーキになるのが自分を救ってくれた大恩人(れんげ)が桜を好きな事。
杜若君も自分の存在意義がぶれ始めていてちょっと不安定な感じで、花やしきにはまだまだ波乱がありそうです。
最終的には皆に幸せになって欲しいなあ、なんて夢想を抱きつつ、これは次巻に大期待。いやあ、盛り上がってまいりました。