グーは負けない


 子供の頃納得できなかった事って大人になっても結構覚えてたりする。

 思えばジャンケンのルールを教えてもらった時がそうだった。


 チョキ=はさみ、パー=紙、グー=石を表していて、「ハサミが紙を切るからパーはチョキに負ける」「石はハサミで切れないからチョキはグーに負ける」。ここまでは判る。

 でも「紙は石を包み込んでしまうからグーはパーに負ける」というのがどうしても判らなかった。
 紙は切られる、ハサミは刃こぼれする、つまりダメージを受けている側が負け、というわけだ。にもかかわらず、石は紙に包まれても依然として石だし、何かダメージがあった訳でもない。ということは、


 負けてないじゃん石(グー)

 
 そう思ったんで、「なんで負けなの?なんで?なんで?」って幼稚園の先生を質問責めした覚えがある(嫌な子供だ…)。で、納得いく答えが返ってこなかったんでずーっと言い募ってたら、しまいにはキレられて「もういいの!ジャンケンってのはそういうルールなの!」って言われて終わり。結局は先生がそこまで言うって事は変えられない事なんだ、それが決まりなんだ、と思って無理矢理自分自身を納得させた。

 「ああ、グーがパーに負けるってのはこういう事か」と気付いたのはもっとずっと後の事。


 でもね、やっぱグーは負けてねえよ。紙に包まれたぐらいじゃグーは負けねえよ。


 という考え方だから今日も職場で衝突しましたとさ。マル。

 三つ子の魂百まで。つーか進歩してないだけ。