武装錬金9巻

武装錬金 (9) (ジャンプ・コミックス)

武装錬金 (9) (ジャンプ・コミックス)

 まずは集英社に対して謝らなければならない。以前の日記武装錬金が夏の赤マルでファイナルと銘打ちながら終わらなかった件について散々批判したわけだが、9巻のあとがきを見ると和月自身があと2回に分けてくれと頼んだ末との事。早とちりで申し訳ない。(こんなブログ見てるわけも無いが一応のケジメだ)

 さて、実は途中からジャンプ本誌買ってなかったんで、単行本で初めて読む話もかなりあったわけですが。なるほどヴィクターが黒くなったりでかくなったりしてるのはそういう事か、とか「ファイナル」で出てきたホムンクルスの娘って仮面の男だったのかとか、「ファイナル」に至るお話がようやく繋がってまずはスッキリ。

 ・なんだ、ただのクレイジーだと思ってたのに火渡いいキャラじゃん。7年前の雨の日―小学生に罪がないのはもちろん、おそらくは照星部隊にも落ち度は無かったにもかかわらず、生き残り1人以外全滅という馬鹿でかい「不条理」に出会って、それを飲み込むために自分自身が最も不条理であろうとする。でもやっぱり不条理を許せなくて…うーん、熱いぜ。確かに和月の言う通り続きの見たいキャラだなあ。プロフィールのlike:不条理/dislike:不条理が哀しくてイカス。


 ・やっぱいいなあパピヨン。どっから服出してんだよ。かと思うとカズキに「選択肢とは他人に与えられるのではなく、自ら作り出していくものだ!」なんてかっこいいセリフも吐く。どっちが主人公かわかりゃしない。というか2巻のあの瞬間からラスボスはパピヨンで、ヒーローVSダークヒーローの図式なんだろうなあ。いやーこういう展開がアツイんですよこの漫画は!


 ・バスターバロンVSヴィクター巨大化のシーン。丸山とか根来が「巨大ロボットォー!?」とか「巨・巨大化ーッ!?」とか驚きキャラ化しててちょっと笑。男塾みてえ。犬飼あたりが「ブクブクブク」とかいって虎丸チックに泡吹いてたら完璧だったのに。


 ・カズキと斗貴子のラヴラヴっぷりがもう…。「足りない勇気は私から補え」とか「この間貰った勇気、少し返そうか?」「バカ…」とかまひろじゃないけど「キャーーーーーーッ!」ですよ!恥ずかしいっつーの恥ずかしいっつーのこっちが照れるっつーの!いやー、「T・P(タイムパトロール)ぼん」アニメ版の「私の酸素…分けてあげる」とか思い出しますねえ(懐かしい)。

 
 ・しかしこうして見るとヴィクター(ヴィクター一家)も哀しいキャラですねえ。「その邪悪な意思とは―」から「怒りだ!もう怒りしかない!」の場面なんてちょっとウルッと来ましたよ。 あと「ママはいつまでも…パパの事愛していたって…」のアレキサンドリアの横顔、斗貴子にそっくり。和月自身も斗貴子とアレクは対だって言ってるし、彼女は文字通り塵になるまで悲劇を見つめ続けた「もう一人の斗貴子」なんだろーな。結局月から帰って来れないで斗貴子さんにこんな悲しい顔させたら許さねーぞカズキ。そうしたら「武装錬金」って漫画の意味自体が無くなるんで、和月はそんな事しないだろうけどね。


 ・いやー、つくづく「ファイナル」はすげえ出来だなあ。細かいツッコミを吹っ飛ばす勢いと熱さにあふれてる。正直、少年漫画として稀有の完成度だと思う。あるいは打ち切りが決まったからこそ、ここまで凝縮したものが描けたのかも知れないけど(いらん事言うな)。


 いよいよ次巻で最後。ただ冬の赤マルが60Pだとしてもコミックス1冊分には遥かに及ばない。ここまで盛り上がってはカズキ・ヴィクター・パピの話は「ピリオド」で決着付いちゃうだろうから、個人的には単行本描きおろしで外伝とか入れて欲しいなあ。防人・千歳・火渡の過去話とか、三バカ+三人娘+パピを交えた平和な後日談とか。