戦後の戦争の物語
Pumpkin Scissors(2) (KCデラックス 月刊少年マガジン)
- 作者: 岩永亮太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/07/16
- メディア: コミック
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最近一番の拾い物。ジャケ買いで大正解。
物語は戦争終結の報せを聞く主人公の姿から始まる。
「俺、明日から何して生きてきゃいいんだ…」
特殊部隊で機械のように人を殺してきた主人公は、戦災復興を目指す部隊「パンプキン・シザーズ」に出会う。
彼らは「盗賊化した部隊」「疫病」「難民問題」といった戦後に起こる問題――戦災という名のもう一つの戦争と戦う部隊だった。
とはいえ基本的に戦争アクションものなんで、戦争でおかしくなった連中とのドンパチがメインなわけですが、キモになるのは主人公もまた敵である彼らと変わらないくらいイカレてしまっている所だ。
つまり戦災復興部隊に所属しているというだけで、自分が戦っている敵と自分自身とは紙一重の差でしかない。それをわかっているため、主人公は戦いの中で殺人機械のスイッチが入りそうになる自分と葛藤する。そこが良い。
一方、もう一人の主人公である女少尉は士官学校を出たてで大戦を知らず、また貴族出身のため世間知らずな部分がある。加えてかなりの熱血漢(漢ではないが)で、戦災復興という使命に燃えている。
自然、彼女から出る言葉は「お題目」であり「理想論」であり「きれいごと」になる。しかし彼女は世の不条理に一歩も退かず、国がかかった戦災という病を治すために奔走する。そこに痺れる。
ともあれ、今後が楽しみなマンガです。